化学実験や分析では、質量パーセント濃度を質量モル濃度に変換することがよくあります。今回は、密度が与えられていない場合の質量パーセント濃度から質量モル濃度への変換方法を解説します。具体例として、37.0%の濃塩酸を取り上げ、この変換をどのように計算するかを順を追って説明します。
1. 質量パーセント濃度から質量モル濃度への変換
質量パーセント濃度(%)は、溶液中の溶質の質量が全体の質量に対してどれだけの割合を占めているかを示します。質量モル濃度(mol/kg)は、溶媒1kgあたりに含まれる溶質のモル数を示す濃度です。この二つの濃度単位を変換するためには、いくつかのステップを踏む必要があります。
まず、質量パーセント濃度から溶質の質量を求め、次にその質量からモル数を計算し、最後にモル数を溶媒の質量で割って質量モル濃度を求めます。
2. 例題:37.0%の濃塩酸の質量モル濃度を求める
問題:37.0%の濃塩酸(HCl)の質量モル濃度を求める。ただし、HClの分子量は36.5 g/molとします。また、密度が与えられていないので、溶媒(水)の質量を仮定して計算します。
まず、37.0%の濃度とは、100gの溶液に対して37.0gがHClであることを意味します。この37.0gのHClをモルに換算します。HClの分子量は36.5 g/molなので、37.0gのHClは、37.0 / 36.5 = 1.01 mol です。
3. 密度が与えられない場合の仮定と計算
密度が与えられていない場合、よく使われる仮定は、溶液の密度を水に近い値とすることです。水の密度は約1.0 g/mLなので、溶液の密度もおおよそ1.0 g/mLであると仮定します。これに基づき、100gの溶液の質量を基に水の質量を計算できます。
溶液全体の質量が100gであると仮定し、37.0gがHClであるため、残りの63.0gは水です。水の質量が63.0gなので、これを1kgあたりに換算すると、63.0g / 1000g = 0.063 kgとなります。
4. 質量モル濃度の計算
質量モル濃度は、溶媒1kgあたりの溶質のモル数です。ここで、HClのモル数は1.01 molで、溶媒(水)の質量は0.063 kgです。したがって、質量モル濃度は次のように計算されます。
質量モル濃度 = 1.01 mol / 0.063 kg = 16.0 mol/kgです。
5. まとめと注意点
密度が与えられていない場合でも、溶液の密度が水と近いと仮定することで、質量モル濃度を計算することができます。今回の例では、37.0%の濃塩酸の質量モル濃度は16.0 mol/kgとなります。
計算を行う際には、仮定に基づいた手順を踏んでいることを確認し、実際の密度がわかっている場合は、それを使用してより正確な結果を得ることが重要です。


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