FreeCADのFEM機能(Elmer)を使って誘導加熱の3Dシミュレーションを行っている際に、収束しない問題が発生することがあります。このような場合、いくつかの設定ミスや数値的な問題が原因となっている可能性があります。この記事では、FreeCADでの誘導加熱シミュレーションの収束問題を解決するための方法や注意点を解説します。
収束しない問題の一般的な原因
シミュレーションが収束しない主な原因は、設定ミスや物理的なパラメータの不整合にあります。特に、境界条件やメッシュ設定、Solverの選定、Joule Heatingの設定に問題がある場合、計算が収束しないことがよくあります。
以下の項目に関して確認することが、問題解決の第一歩となります。
1. 境界条件の確認
あなたが設定した境界条件は、シミュレーションが正しく収束するために重要な要素です。特に「ConstraintCurrentDensity」や「ConstraintElectrostaticPotential」、「ConstraintMagnetization」などの設定を見直すことが大切です。例えば、コイルに流れる電流密度や空気ボディの外側の電位設定が適切か、また、空気ボディの磁力がゼロに設定されていることがシミュレーションの安定性に影響します。
もし、これらの境界条件が不適切であれば、計算が収束しない原因となることがあります。再度、設定を見直し、物理的に意味がある値を設定してください。
2. メッシュ設定の見直し
メッシュはシミュレーション結果に大きな影響を与える要素です。現在、空気ボディ全体を最大5mmのメッシュサイズに設定していますが、このサイズが適切かどうか確認してください。メッシュが粗すぎると、計算が収束しにくくなる場合があります。より細かいメッシュを使用することで、精度が向上し、収束しやすくなることがあります。
また、メッシュの品質も重要です。メッシュが不整合であったり、細かすぎる場合に数値的不安定が発生することがあります。適切なメッシュを選ぶことで、シミュレーションの収束を促進できます。
3. SolverとJoule Heatingの設定確認
Solver設定も収束に大きく影響します。Magneto Dynamicのソルバー設定が正しいか確認し、Joule HeatingがTrueに設定されていることもチェックしてください。Joule Heatingの設定は、電流による加熱効果を正しくシミュレートするために重要です。もし、Joule Heatingの設定が不適切であると、加熱の影響が正しく反映されず、計算が収束しないことがあります。
さらに、Solverのパラメータ(例えば、最大反復回数や収束条件)を見直して、より安定した結果を得られるように設定を調整してください。
4. 数値解法の調整
数値解法に関する調整が必要な場合もあります。特に、非線形解析や複雑な境界条件を持つシミュレーションでは、数値的な安定性を確保するためにSolverの設定を調整する必要がある場合があります。これには、収束基準や反復回数の設定、または収束アルゴリズムの変更などが含まれます。
数値解法に関する設定を見直し、安定した解が得られるように調整してください。
まとめ
FreeCADのFEM機能を使用した誘導加熱のシミュレーションが収束しない場合、境界条件、メッシュ設定、Solverの設定、Joule Heatingの設定など、さまざまな要因が考えられます。これらを一つ一つ確認し、設定を見直すことで、シミュレーションの収束問題を解決することができます。また、数値解法の設定やメッシュの品質も重要なポイントです。適切な設定を行うことで、より正確なシミュレーション結果を得ることができるでしょう。

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