この問題では、正規母集団から抽出された標本を基に、帰無仮説を検定する方法について解説します。具体的には、標本平均、標本分散、および母平均に基づく仮説検定を行います。以下では、各部分の問題を順番に説明します。
1. 検定統計量の実現値
問題文によると、標本平均は1.6、不偏分散は0.25、標本サイズは100です。母平均が1.5であるという仮説に対して、両側検定を行います。この場合、標本平均の差を基にした検定統計量は以下の式で求められます。
検定統計量 Z = (標本平均 – 母平均) / (標本分散 / 標本サイズ) の平方根
具体的には、Z = (1.6 – 1.5) / sqrt(0.25 / 100) = 0.1 / 0.05 = 2となります。
2. 棄却域を求める際に使用する分布
この仮説検定では、標本平均が正規分布に従うことを前提にしているため、使用する分布は正規分布になります。両側検定では、検定統計量が有意な範囲に入るかどうかを確認するために、正規分布の臨界値を参照します。
3. 臨界値の計算
有意水準5%で両側検定を行う場合、正規分布の標準正規分布表からz値を参照することで臨界値を求めます。5%の有意水準は、片側2.5%に対応するz値は約±1.96です。したがって、検定統計量が1.96を超える場合、帰無仮説は棄却されます。
4. 帰無仮説の棄却の有無(有意水準5%)
検定統計量 Z = 2 は臨界値 ±1.96 の範囲内にありません。したがって、帰無仮説は棄却されます。つまり、この場合、母平均が1.5であるという仮説は棄却され、データは母平均が1.5ではないことを示唆しています。
5. 帰無仮説の棄却の有無(有意水準1%)
有意水準1%の場合、標準正規分布表を参照すると、z値は±2.576です。検定統計量 Z = 2 は、臨界値 ±2.576 の範囲内に入っています。したがって、有意水準1%では帰無仮説を棄却できません。
6. まとめ
今回の問題では、母平均が1.5であるという仮説に対して、標本データから得た検定統計量を基に仮説検定を行いました。検定統計量が有意水準5%で棄却域に入ったため、帰無仮説は棄却されましたが、有意水準1%では帰無仮説は棄却できませんでした。このように、検定の結果は有意水準によって異なることがあるため、検定の際には有意水準を慎重に選ぶ必要があります。


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