日本海を東西に貫く海流である 対馬海流(Tsushima Warm Current)は、海況や潮汐の影響を受けながら流れており、「1日に何度も流向が変わるか」「潮流(潮汐・潮汐による流れ)の影響はどの程度差し引かれているか」という疑問が出るのも当然です。この記事では、海流・潮流・潮汐の関係を整理し、対馬海流がどのような変動を示すのかを解説します。
対馬海流とは何か
対馬海流は、 黒潮系の暖流が東シナ海から 対馬海峡 を通って日本海へ流入し、日本海北部へと向かう主要な海流です。:contentReference[oaicite:3]{index=3}
この海流は、単一の流れではなく、海峡を通るルート・分岐・季節変動・潮汐や風の影響など多くの要素が重なって変動します。:contentReference[oaicite:4]{index=4}
流向(流れの向き)は1日に何回変わるのか?
「1日に何回」ものはっきりとした方向転換が起きるとは、観測データから言い切ることは難しいです。対馬海峡内では基本的に北東方向へ流れる流れが主体です。:contentReference[oaicite:5]{index=5}
ただし、観測では「短時間変動(数時間〜数十時間)」や「支流・逆流・渦」の存在が確認されており、例えば潮汐や内部波・分岐流・地形による影響で流向が局地的に逆転または横ずれすることがあります。:contentReference[oaicite:6]{index=6}
潮流・潮汐の影響はどう扱われているか?
海流観測においては、潮汐(満潮・干潮による上下・水平の水位変動)が流れに与える影響を考慮するのが一般的です。特に狭い海峡では、潮流成分がかなり寄与しており、 対馬海峡 においても潮汐成分が測定されており、流速・方向変化に寄与していることが確認されています。:contentReference[oaicite:8]{index=8}
そのため「潮流の影響を差し引いたものか」「無視されているか」という質問に対しては、観測データでは潮汐成分を「除去」して長期・平均流の変動を調べる研究も行われています。つまり、潮流を完全に無視しているわけではなく、解析目的に応じて潮汐・潮流成分を区別・除去しているケースが多いです。:contentReference[oaicite:9]{index=9}
実例:短期変動と潮汐成分の観測
例えば、2014年6〜7月の観測では、底層の冷水侵入・温度変化・流速変動が「約2週間周期(春・朔望潮サイクル)」と関連していたという報告があります。:contentReference[oaicite:10]{index=10}
この観測では、潮汐成分(特に日周・昼夜成分)を取り除いた上で以下が確認されています:①底冷水の侵入、②それによる温度前線の移動、③その移動に伴う流速強化。これにより、潮汐が間接的に流れの変化を導いていることが示唆されています。:contentReference[oaicite:11]{index=11}
実践的な理解のために押さえておくポイント
・対馬海流は「常に北東へ一定方向に流れている」わけではなく、地形・分岐・季節・潮汐・風などにより変動します。
・「1日に数回流向が変わる」ほど極端な頻度の変化ではないですが、数時間〜十数時間規模の変化・逆流・渦の発生はあり得ます。
・観測・解析の際には、潮汐・潮流成分を除去して海流の変動を捉える研究も行われており、潮汐成分は“無視”ではなく“分離・考慮”されています。
まとめ
対馬海流は、主に北東方向に流れる暖流ですが、地形・潮汐・風・季節変動など多様な要因により流向・流速に変化があります。潮流(潮汐による流れ)もかなりの影響を持っており、解析時にはその成分を取り除いて純粋な海流変動を捉えることが行われます。したがって、「1日に何回」という単純な数値で流向が変わるとは言えませんが、数時間〜十数時間レベルで変動が見られる可能性があり、潮流の影響も無視できないというのが科学的な結論です。

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