クマだけじゃない?シカ・イノシシ・アライグマ・イタチなど野生動物増加の“今”と私たちにできること

動物

近年、山間部や人里近くで ヒグマ・ツキノワグマ といった“クマ”の出没が頻繁に報道されていますが、実は ニホンジカ や イノシシ、そして アライグマ や イタチ などの“それ以外の野生動物”も増えているのでしょうか。この記事では、統計や研究成果をもとに、各種野生動物の生息数・分布・被害傾向を整理し、人と野生動物が共存するために何ができるかを考えます。

野生動物が“増えている”と言われる背景

まず、「野生動物が増えている」という印象を裏付けるデータをご紹介します。例えば、環境省などの資料では、ニホンジカおよびイノシシの分布域が、1978年度から2018年度にかけてそれぞれ約2.7倍、約1.9倍に拡大したと報告されています。:contentReference[oaicite:6]{index=6}

また、 農林水産省 によれば、令和5年度の野生鳥獣による農作物被害額は約164億円。この中で、シカの被害額が前年より増加、クマの被害も増加しているとされています。:contentReference[oaicite:8]{index=8}

代表的な野生動物の現状 ― シカ・イノシシ・クマ編

まず、身近かつ影響範囲が大きいものを整理しましょう。

ニホンジカ:高い繁殖力と広い食性を持ち、森林や里地で食害を起こす動物として警戒されています。:contentReference[oaicite:9]{index=9}

イノシシ:比較的近年まで分布が限られていた地域にも進出しており、果樹園や農地での被害が報じられています。:contentReference[oaicite:10]{index=10}

クマ(ツキノワグマ・ヒグマ):出没範囲が住宅地・人里に近づいており、人身被害も過去最多レベルで増加しているとされます。:contentReference[oaicite:11]{index=11}

外来・準在来種も含めた“それ以外”の野生動物の増加傾向

次に、「イタチ」「アライグマ」など、クマやシカ・イノシシ以外の野生動物の動向を見てみましょう。

例えば、アライグマは人家近くに侵入し、屋根裏や床下に住みつくケースが都市部でも増えています。:contentReference[oaicite:12]{index=12} また、多様な“害獣”として指定されている動物の中にシカ・イノシシ・アライグマ・イタチも含まれており、「天敵不在」「餌となる環境の変化」「捕獲・管理のハードル」といった増加要因が指摘されています。:contentReference[oaicite:13]{index=13}

ただし、「増えている」という言葉がすべての地域・全ての種にあてはまるわけではなく、例えばイノシシについては一定期間ピークを迎えた後に減少傾向にあるという報告もあります。:contentReference[oaicite:14]{index=14}

「なぜ増えているのか」― 要因の整理

野生動物が“人の生活圏”に出てくるようになってきた背景には、複数の要因があります。

(1)**天敵の減少・不在**:日本ではかつての大型肉食獣がほぼ存在せず、シカ・イノシシ・アライグマ等にとって捕食圧が低い環境になっているとされます。:contentReference[oaicite:15]{index=15}

(2)**生息地の変化・餌環境の変化**:耕作放棄地の増加、人工林の放置、都市近郊の自然回復などにより、野生動物が適応しやすい環境が広がっています。:contentReference[oaicite:16]{index=16}

(3)**捕獲・駆除・管理の難しさ**:例えば、狩猟者の減少・高齢化なども捕獲対応を難しくしており、管理が追いつきにくい状況です。:contentReference[oaicite:17]{index=17}

具体的な地域・実例でみる野生動物の増加と影響

実例を通して、増加傾向とその影響をより実感できるでしょう。

例えば、山梨県/長野県をまたぐ自然公園では、ニホンジカが高山帯にまで出現し、高山植物を食べ尽くして植物景観が変化してしまったという報告があります。:contentReference[oaicite:18]{index=18}

また、都市部近くではアライグマやハクビシンが屋根裏に入り込み、「侵入・住みつき」「糞尿・騒音」など住環境への影響が増えているという状況があります。:contentReference[oaicite:19]{index=19}

私たちにできることと“共生”への道筋

野生動物をただ「駆除すべきもの」とするのではなく、「どう共に生きるか」を考えることが重要です。

例えば、住民側でできる対策としては、以下のようなものがあります:

  • 家庭や農地でのごみ管理、果物の放置を控える
  • 人里近くの柵や防護ネットなどで野生動物の侵入を防ぐ
  • 地元自治体が発信する「野生動物出没情報」を確認する

行政・地域レベルでは、個体数調査の強化、捕獲・移動・避妊などの複合的な管理策が進められています。:contentReference[oaicite:20]{index=20}

まとめ

「最近クマが増えている」と感じる方は少なくありませんが、実際にはシカやイノシシ、さらにはアライグマ・イタチなどの野生動物も、その種類や地域により**増えている傾向があります**。ただし、すべての地域・動物が同じように増加しているわけではなく、管理・対応の状況によって変わります。

大切なのは、“野生動物が増えている=敵”という単純な捉え方をせず、**なぜ増えているのか・どのように共生すべきか**を地域社会・個人が一緒に考えていくことです。

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