数学的帰納法は、ある命題が自然数に関して成り立つことを証明するための強力な方法です。この例では、不等式
sum n = 1 to N 1/(sqrt(2n + 1)) < sqrt(2N+1)
が成り立つことを数学的帰納法を用いて証明していきます。
数学的帰納法の基本的な考え方
数学的帰納法は2つのステップで構成されます。最初に、基底ケースを証明し、次に帰納的仮定に基づいて、次の自然数に対して命題が成り立つことを示します。この方法で、無限に続く自然数のすべてに対して命題が成り立つことを証明します。
この問題に対しても、まず基底ケースから始め、次に帰納的仮定を使って証明を進めます。
ステップ1: 基底ケースの証明
まず、N=1のときに不等式が成り立つか確認します。左辺はsum n = 1 to 1 1/(sqrt(2n + 1)) = 1/(sqrt(3))であり、右辺はsqrt(2×1+1) = sqrt(3)です。
1/(sqrt(3)) < sqrt(3)は確かに成り立ちますので、基底ケースが確認できました。
ステップ2: 帰納的仮定
次に、N=kにおいて不等式が成り立つと仮定します。つまり、次の式が成り立つと仮定します。
sum n = 1 to k 1/(sqrt(2n + 1)) < sqrt(2k + 1)
この仮定を用いて、N=k+1の場合も不等式が成り立つことを示します。
ステップ3: N=k+1の場合の証明
帰納的仮定に基づき、左辺を次のように分解します。
sum n = 1 to k+1 1/(sqrt(2n + 1)) = sum n = 1 to k 1/(sqrt(2n + 1)) + 1/(sqrt(2(k+1) + 1))
帰納的仮定からsum n = 1 to k 1/(sqrt(2n + 1)) < sqrt(2k + 1) ですので、左辺はsqrt(2k + 1) + 1/(sqrt(2(k+1) + 1)) となります。
右辺はsqrt(2(k+1) + 1) = sqrt(2k + 3)です。したがって、左辺が右辺より小さいことを示すためには、
sqrt(2k + 1) + 1/(sqrt(2k + 3)) < sqrt(2k + 3)
が成り立つことを確認すればよいです。
まとめ
数学的帰納法を使って不等式を証明する方法は、まず基底ケースを確認し、次に帰納的仮定を使って次のステップを証明するという手順を踏みます。今回の問題では、N=1の場合が成り立つことを確認し、その後、帰納的仮定を使ってN=k+1の場合も成り立つことを示しました。

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