「期待してるから愛されていて、期待されなくなったら終わりですか?」という問いを耳にすることがあります。愛と期待は確かに関係していますが、〈同じものではない〉というのが心理学の示すところです。この記事では、期待と愛の違い、期待が強すぎるとどうなるか、そして愛の本質に近づくためのヒントを整理します。
期待とは何か?そしてそれが関係に与える影響
期待(expectation)は、「相手にこうしてほしい/こうあるべきだ」と無意識に課す心理的な基準や願望です。関係性において期待が満たされなければ、失望・怒り・疎外感につながることがあります。([参照]https://www.psychcentral.com/blog/expectations-and-your-relationship/)
心理学では、期待と標準(standards)を区別します。標準は「自分が大切にしたい価値」、期待は「相手にしてほしいこと」と定義され、混同するとトラブルの原因になると指摘されています。([参照]https://rootrisetherapyla.com/blog/2023/expectations-vs-standards)
愛とは何か?期待と同じではないその本質
愛(love)は、対象の幸福や成長を願い、自分も相手も受け入れる態度や関係性を指すことが多いです。条件付きではなく、支え・理解・共感を伴うことが本質とされています。
例えば心理療法の領域では「無条件の肯定的配慮(unconditional positive regard)」という概念があり、これは期待とは異なり「相手のありのままを受け入れる」態度です。([参照]https://www.verywellmind.com/what-is-unconditional-positive-regard-2796005)
期待過剰がもたらす関係のリスク
期待が大きすぎたり、一方的だったりすると、次のようなリスクがあります:
・相手が「期待に応えなければ愛されない」と感じる。
・期待が裏切られたとき、愛情の有無を疑うようになる。
・「愛=期待がかなうこと」という誤った認識が生まれる。
実際、ある研究では「期待の不一致」が関係における感情的喚起(怒りや悲しみ)を引き起こす機構としてモデル化されています。([参照]https://en.wikipedia.org/wiki/Emotion-in-relationships_model)
健全な「愛」と「期待」のバランスを作るには
期待を完全に手放すのではなく、以下のような工夫が愛を深めるヒントになります。
- 透明に願いを伝える:“してほしいこと”を言語化することで誤解が減ります。
- 相手の自由を尊重する:期待がすべてではなく、“どう応えてくれるか”ではなく“どうありたいか”を考える。
- 自分の基準(標準)を見直す:期待と標準の違いを知り、相手に過度な要求をしていないか確認しましょう。
- 愛の姿を見える化してみる:「期待の数」ではなく、「支えた回数」「共に成長した瞬間」に着目。
例えば、「私が疲れているときも、裏でさりげなくコーヒーを淹れてくれた」など、小さな行動を愛情のサインとして捉えることができます。
まとめ
「愛=期待」という式は簡単に成り立つものではなく、愛の中に「期待」は確かに存在しても、期待だけでは愛を支えることはできません。愛とは、期待を土台にしながらも、それを超えて〈相手をそのまま受け入れ、自分も成長していく関係〉です。
期待にとらわれず、自分と相手の「ありたい姿」に少しずつ近づくことが、深い愛を育む鍵になります。


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