「乗り物酔いで吐きそう」「お酒を飲んで“バック”しちゃった」――このような経験をすると「どちらも吐くんだから、体の仕組みは同じなんだろうか?」と疑問に思うことがあります。この記事では、〈乗り物酔い〉と〈酒酔い(飲酒による嘔吐)〉のメカニズムを整理し、似ている部分と異なる部分をわかりやすくまとめます。
乗り物酔いの仕組み:感覚の“ズレ”による反応
乗り物酔い(モーションシックネス)は、視覚・内耳(前庭系)・体感(固有受容感覚)などの感覚入力が不一致を起こすことで引き起こされるという「感覚のミスマッチ理論」が有力です。([参照]https://www.osmosis.org/answers/motion-sickness)
内耳の前庭器官が『動いている』と受け取り、でも目が『動いていない』と感じる場合など、脳が混乱して嘔気・嘔吐などの自律神経反応を引き起こします。([参照]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK539706/)
飲酒による嘔吐の仕組み:アルコール・毒素・胃腸・中枢反応
一方、お酒を飲んで吐いてしまう場合、アルコールそのものやその代謝物(アセトアルデヒド)などが胃腸や中枢神経を刺激し、「有害物質を外へ出そう」という反射が働きます。([参照]https://www.vinmec.com/eng/blog/why-do-you-vomit-a-lot-after-drinking-en)
具体的には、胃の神経末端が刺激され、また脳幹にある嘔吐中枢(延髄付近)も反応し、嘔吐が起こるというメカニズムが確認されています。([参照]https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8198651/)
共通している点:嘔吐反射という生体防御反応
両者に共通するのは「嘔吐(吐き気→嘔吐)」という表現が使われる点であり、これは身体が“不快/異常な状態”を感知し、身体内部へのダメージを防ごうとする防御的な反応と考えられます。
つまり、乗り物酔いでも飲酒でも、結果として「吐く」というアウトプットが出ることから“同じように見える”ものの、それぞれ異なる刺激や誘因から発生しているという点が重要です。
異なる点:原因・刺激源・生理経路の違い
最も大きな違いは、発生の経路と刺激源です。乗り物酔いは「感覚入力の混乱(視覚・前庭・体性感覚)」が主因であるのに対し、酒酔いによる嘔吐は「化学的刺激(アルコール/代謝物)+胃腸・中枢神経の反応」が主因です。
また、治療や予防の方法も異なります。乗り物酔いには“視線を水平に保つ”“車内で体を安定させる”等の物理的対策が有効ですが、飲酒による嘔吐には“飲む量を減らす”“ゆっくり飲む”“空腹で飲まない”など消化や代謝を守る対策が必要です。
具体例:実際にどう違う?
例① 車で本を読んでいたら酔って嘔吐した→これは視覚が“静止”を伝えているのに、内耳が“動いている”と伝えるミスマッチが原因です。
例② 急激に大量にお酒を飲んで、すぐ吐いた→これはアルコールが胃を刺激し、かつ血中アルコール濃度や代謝物が嘔吐中枢を作動させた典型的な例です。
まとめ
結論として、乗り物酔いと酒酔いによる嘔吐は「吐く」という現象では似ていますが、**原因・発生メカニズムは異なる**ものです。どちらも身体の防御反応ではありますが、刺激源が“感覚のズレ”か“化学的刺激”かによってアプローチが変わります。
それぞれの状況で「どうすれば防げるか」を知ることで、次回以降の“吐き気”のリスクを減らすことができます。体の声を聞きながら、無理なく楽しめるよう心がけましょう。


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