スペイン語ドラマ『ラ・カサ・デ・パペル』(原題:La casa de papel/英題:Money Heist)を観ていて、「私はピンク、彼は黄色」という字幕が出て驚いたという声を聞きます。何を比喩しているのか、そしてなぜそう訳されたのかを本記事では丁寧に紐解いていきます。
比喩とは何か・色の持つ象徴性
まず「比喩(メタファー)」とは、あるものを別のものになぞらえて表現することで、言外の意味や感情・関係性を表す言語技法です。例えば「彼はライオンだ」という表現は「強くて勇敢だ」という意味を持ちます。
色には文化的・心理的な象徴性があります。たとえば日本では「赤=情熱・危険」「青=冷静・知性」「黄色=注意・嫉妬」「ピンク=優しさ・女性性」などのイメージがあり、スペイン語圏でも多少異なるながら色が感情・関係性を象徴することがあります。
劇中における「私はピンク、彼は黄色」の文脈
本件の文言は、字幕によって「私はピンク、彼は黄色」と訳されていたようですが、原語のスペイン語台詞・公式スクリプトに該当箇所を確認できたという確たる証拠は公開されていません。つまり、字幕制作時に翻訳者が意訳・演出的な訳出を加えた可能性があります。
この文言が使われた場面を想定すると、男女・二者の対比/関係性を色で象徴させた語りであると考えられます。〈ピンク=柔らか・優しい/女性性〉〈黄色=明るく・警告色・男性性もしくは異なる立ち位置〉という色分けにより、「彼女と彼」の性格・役割・立場の違いを視覚化・印象付けようとしているのです。
なぜ「ピンク」「黄色」なのか? 考えられる解釈
以下のような解釈が考えられます。まず、ピンクは「女性的」「受け身」「感情的」あるいは「優しさ・包容力」を象徴する色として使われることが多いです。一方、黄色は「注意」「警戒」「光・明るさ」「異質性」を示唆する色でもあります。
したがって「私はピンク、彼は黄色」という言い回しは、「私は柔らかで包容的な立場、彼は目立つ・強い・警戒された立場」という二者の性格・立ち位置のズレを端的に示す比喩だと読めます。例えば盗掘グループの中で〈女性的/後方支持〉の立場と〈主体的/攻撃的〉立場を色分けして示す演出とも捉えられます。
具体的な例で考える
例1:ある場面で主人公の女性が自身を“ピンク”として、「私には守るべき使命があるが、彼は黄色だから前線に出て目立つ役割を担っている」という意識を持っていたとする。
例2:別の場面で、彼が“黄色”として「目立つ存在/警戒される存在」であることを意図しており、彼女が“ピンク”として「それを見守る・補助する・陰に回る」存在という構図を示していると読み取る。
字幕の翻訳/意訳の可能性と注意点
海外ドラマの字幕では、直訳では意味が伝わりにくい比喩や言い回しを「意訳」「翻訳者の解釈」で置き換えることがあります。つまり、「原語に完全対応する“ピンク”“黄色”という色コード」がスペイン語台詞にあるとは限らないのです。
本件の場合、翻訳者が「色で二者を象徴させることで視聴者に直感的に“二人の差”を理解させよう」と判断した可能性があります。従って、厳密には「このドラマでスペイン語原文に『soy rosa, él amarillo』と発言された」と断言できる情報は、現在のところ確認できていません。
まとめ:この比喩をどう読み解けばいいか
・「私はピンク、彼は黄色」という字幕は、色を用いて〈二人の性格・立場・関係性の違い〉を象徴化する演出的な比喩です。
・色の意味を知ることで、〈柔らか/包容〉と〈目立つ/警戒〉という対比構造が見えてきます。
・しかしこの表現が原語そのままかどうかは不明で、字幕翻訳による意訳の可能性も高いため、「原文には必ずこの色指定があった」という読みは慎重にすべきです。
もしよければ、字幕制作会社・翻訳者インタビュー・スペイン語台本の原文なども探せますので、ご希望があればお知らせください。


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