国際協力に関心を持つサークルや団体では、「目的」と「目標」が混在して使われることが多く、メンバー間でモヤモヤが生まれる原因となります。今回は、〈目的〉と〈目標〉の違いを整理し、実際の活動案に即してどう整理すればチームの意思統一につながるかを解説します。
「目的」とは何か?チームとしての〈なぜ〉を明確にする
まず「目的(purpose)」は、チームや組織が“なぜ存在するのか”“どんな影響を目指しているのか”という〈根本的な意図〉です。[参照]
例えば「国際協力に興味はあるが一歩踏み出せない人にアクションを起こしてもらう」「今まで国際協力についての情報に触れてこなかった人に関心を持ってもらう」という記述は、手段や方法に縛られず“何を変えたいか”“どんな価値を生みたいか”に焦点を当てており、まさに目的として整理できます。
「目標」とは何か?チームとしての〈どうやって〉を具体化する
一方「目標(goal)」は、目的を達成するために設定する〈具体的な行動〉や〈達成可能な成果〉です。例えば「メンバーを増やす」「フォロワーを増やす」「イベントを投稿する」といった項目は、数値化・期限化できる行動指標であり、目標として整理できます。[参照]
目標は“どれくらい”“いつまでに”“どうやって”という観点を設けることで、進捗を測りやすく、チームが動きやすくなります。
目的と目標が混在してしまうと起きるズレとその事例
目的と目標が明確に区別されていないと、たとえば「支援地の現状を知ってもらう」という表現が目的なのか目標なのかあいまいになり、手段が目的化してしまうケースがあります。
具体例として、目的として「支援地の現状を知ってもらいたい」と設定した後に、「SNS投稿数10件」「メンバー数を年内50人に増やす」という目標を設けたとき、もし投稿数や人数増が目的そのものになってしまうと、肝心の「関心を引き、アクションを起こす人を増やす」という目的からずれてしまいます。
整理のステップ:サークルの目的・目標の見直しフレーム
以下のようなステップで整理すると、メンバー内の認識を揃えやすくなります。
- ステップ1:まず「私たちが存在する意味・誰に・何を変えたいか(目的)」を言語化する。
- ステップ2:「目的を達成するために必要な成果・指標(目標)」を具体化・数値化する。
- ステップ3:「目標達成するためにいつ・誰が・どう動くか(手段)」を明記し、役割を共有する。
例えば、目的:「国際協力に一歩踏み出せない人にアクションを起こしてもらう」→目標:「年内に情報セッションを3回開催し参加者を延べ100名にする」→手段:「SNS告知+大学構内チラシ+先輩による体験談発信」といった具合です。
目的・目標を再設定する際のチェックポイント
・目的が曖昧であれば、チームの“なぜ”に立ち返る。
・目標が多すぎて手段だらけになっていないかを確認。
・目標が目的に対して“連動”しており、目的からずれていないかを検証。
加えて、目標にはSMART(具体的・測定可能・達成可能・関連性・期限あり)という条件を設けることで、実務的な運用がしやすくなります。
まとめ
・〈目的〉は「なぜこの活動をするのか」という根本的な問い。
・〈目標〉はその目的を達成するための「何を・いつまでに・どうするか」という具体的な成果。
・サークルでの混乱を防ぐには、まず目的をクリアに定義し、それに紐づいた目標をシンプルに整理することが鍵です。
ぜひ、本記事のフレームを活用して、サークルの目的と目標を再整理し、メンバー全員が一つの方向を向いて動ける体制を作ってみてください。


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