「歳を重ねた大人ほど子どもみたい」「若い世代の方がしっかりしている」と感じたことはありませんか?実はこうした「逆転」に見える現象にも、心理学・発達科学・社会学の視点から説明できる理由があります。本記事では、発達段階・社会環境・価値観の変化という3つの観点から、その背景を整理してみましょう。
発達心理学から見る「大人として成熟する」という過程
人間の脳や行動制御は、外見の成長が終わっても内部的には発達が続いており、たとえば前頭前野の成熟は20代半ば以降も進むとされています。 [参照]
つまり、年齢だけをもって“成熟=大人らしさ”と結びつけるのは必ずしも適切ではありません。発達段階が異なれば、「歳を重ねても子どもっぽさ」が残る場合もあるのです。
社会環境と役割変化:年齢と期待のギャップ
かつては「成人=20代で結婚・就職・家庭」という時代が一般的でしたが、現代では「若者の大人化」が遅れているというデータもあります。 [参照]
逆に、年長世代は長年培った習慣や価値観に縛られ、若い世代の新しい役割や価値観に追いつかないまま“子どもっぽく”見られてしまうことがあります。これは「社会的役割の更新」がスムーズでないためとも考えられます。
価値観・ジェネレーションギャップ:若い世代の“大人っぽさ”の背景
世代交代(〈ジェネレーション・リプレイスメント〉)という社会学の理論では、若い世代が別の価値観・環境で育つことで、先行世代とは異なる行動様式を持つことが示されています。 [参照]
たとえば、情報技術に慣れ、変化に柔軟な若い世代は「適応力」「自立心」が早く表れやすく、結果として“年齢に比して大人”と見られることがあります。
具体例で見る「年上が子どもっぽく、若者が大人っぽく」見えるパターン
例①:定年後の年配者が趣味に夢中になり子どものように振る舞っている一方で、30代の若者が家庭と仕事を両立させて責任ある立場にいる。
例②:SNSや動画で若者が社会問題に積極的に発言/行動しているのに対し、年長者が「昔はこうだった」と保守的な姿勢に留まるケース。
この“逆転”を理解して自分の立ち位置を整えるために
・年齢だけで「成熟」や「大人らしさ」を測らず、行動・役割・価値観を見直してみましょう。
・若い世代も年長世代も、それぞれの得意分野・役割があり、「年上だから大人」「若いから子ども」という固定観念を見直すことが重要です。
まとめ
・「年齢=成熟度」は必ずしも比例しないというのが発達心理学の視点からの指摘です。
・社会の変化により、役割更新が滞った年長者が“子どもっぽく”見える一方で、若い世代が“大人っぽく”見えることがあります。
・世代ごとの価値観・環境の違いが行動・評価のズレを生み、結果として「歳いってる大人ほど子どもで、若い世代ほど大人だったりする」ように感じられるのです。


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