高一数学でよく出てくる問題の一つが、複素数の加法とその絶対値に関する問題です。この記事では、複素数 z = a + bi に対して、|z| = √(a^2 + b^2) の性質を利用し、いくつかの問題に対する解法を解説します。
(1) |z + w| ≤ |z| + |w| の証明
まず、|z + w| ≤ |z| + |w| を証明するために、複素数 z = a + bi と w = c + di を考えます。z と w の和は、z + w = (a + c) + (b + d)i となります。したがって、|z + w| = √((a + c)^2 + (b + d)^2) です。
一方、|z| = √(a^2 + b^2) および |w| = √(c^2 + d^2) です。三平方の定理を使って、次の不等式を証明できます:|z + w| ≤ |z| + |w| です。この証明は「三角不等式」と呼ばれ、複素数の加法における重要な性質です。
(2) |z + w| = |z| + |w| の必要十分条件
次に、|z + w| = |z| + |w| が成り立つための必要十分条件を求めます。z = a + bi、w = c + di として、|z + w| = |z| + |w| となるためには、z と w の方向が一致する必要があります。具体的には、z と w のベクトルが同じ方向を向いている場合にのみ、この等式が成立します。
数学的には、z と w が直線上で同じ向きを持つ場合、|z + w| は |z| + |w| と等しくなります。つまり、z と w のベクトルが同じ方向を向いている場合、|z + w| = |z| + |w| という関係が成り立ちます。
(3) 座標平面上での位置関係
次に、0でない実数a, b, c, dが(2)で求めた条件を満たしているとき、座標平面上で点(a, b)と(c, d)の位置関係について考えます。ここでは、z = a + bi と w = c + di の位置関係を理解することが重要です。
もし |z + w| = |z| + |w| が成立するならば、z と w は座標平面上で同じ直線上に並び、かつ、同じ方向を向いています。これは、z と w のベクトルが直線的に並び、角度が0度または180度であることを意味します。
まとめ
複素数の加法とその絶対値に関する問題は、複素数平面やベクトルの概念を理解するために重要です。|z + w| ≤ |z| + |w| の証明は三角不等式を利用し、|z + w| = |z| + |w| の必要十分条件は、z と w が同じ方向を向いている場合に成立します。最後に、座標平面上で点(a, b)と(c, d)が同じ直線上に並んでいる場合、|z + w| = |z| + |w| が成り立つことがわかります。


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