ヘスの法則を使って反応エンタルピーを求める際に、どの方法を選択すべきかは多くの学生が悩むポイントです。この記事では、①「関係する物質の燃焼反応や単体からの生成反応を足し引きする方法」と②「エンタルピー図を使う方法」の2つの方法を比較し、それぞれのメリットとデメリットを解説します。
ヘスの法則とは?
ヘスの法則は、化学反応におけるエンタルピー変化が反応経路に依存せず、始めと終わりの状態だけに依存するという法則です。この法則を使うことで、直接反応のエンタルピーがわからなくても、他の反応のエンタルピーを用いて求めることができます。
具体的には、ヘスの法則を使うときには、与えられた反応とその反応に関係する別の反応(例えば燃焼反応や生成反応)のエンタルピーを足し引きしていきます。このように、エンタルピーの変化を計算することで求めたい反応のエンタルピーを求めることが可能です。
方法①:燃焼反応や生成反応を足し引きする方法
ヘスの法則を適用する最も一般的な方法は、燃焼反応や生成反応のエンタルピーを使って反応式を足し引きすることです。この方法では、まず与えられた反応に関係する他の反応式を立て、反応物と生成物のエンタルピーを用いて加算または減算を行います。
この方法の最大の利点は、計算過程が明確であり、手順を追って問題を解くことができる点です。しかし、問題によっては必要な式が多く、複雑な立式や必要な反応を取捨選択する手間がかかる場合もあります。特に難解な問題では、反応式を正確に立てることが重要ですが、それが難しい場合があります。
方法②:エンタルピー図を使って求める方法
エンタルピー図を使う方法は、反応のエンタルピーをグラフ的に視覚化し、反応物と生成物のエンタルピー差を求める方法です。この方法は、視覚的に反応のエンタルピーの変化を捉えることができるため、直感的に理解しやすいという利点があります。
エンタルピー図は、反応の進行に伴うエンタルピーの変化を表すため、複雑な計算を省略できることが多いです。しかし、実際にエンタルピー図を描くことが許されていない試験などでは、適用が難しい場合があります。また、エンタルピー図を描くためには、まず反応の全体的なエンタルピーの流れを把握する必要があります。
どちらの方法を使うべきか?
どちらの方法が適切かは、問題の内容や自分の得意な解き方に依存します。方法①の燃焼反応や生成反応を足し引きする方法は、しっかりとした計算手順を踏むことができ、初心者でも安心して取り組める方法です。しかし、反応式の立式が複雑になりやすい場合もあるため、慣れるまで練習が必要です。
方法②のエンタルピー図を使う方法は、視覚的にわかりやすく、エンタルピーの変化を直感的に捉えることができますが、図を描くための知識や訓練が必要です。どちらの方法も、それぞれの特徴を理解し、問題に応じて使い分けることが大切です。
まとめ:どちらの方法が最適か
ヘスの法則を使って反応エンタルピーを求める際、方法①と方法②にはそれぞれの利点と欠点があります。問題によって、手順が複雑になりやすい方法①と視覚的に理解しやすい方法②を使い分けることが重要です。
初心者のうちは方法①でしっかりと計算力をつけ、慣れてきたらエンタルピー図を使って直感的に解く方法を試してみるのが良いでしょう。自分に合った方法を見つけることで、効率的に問題を解けるようになるはずです。


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