建築学生のためのアクソメ図の描き方ガイド|透かし表現と隠れた部分の描写方法

建築

建築学生にとって、アクソメ図(アイソメトリック図)は立体的な空間を理解しやすく伝えるための重要な手法です。しかし「階が重なる部分は透かして描くのか」「手前にあるものに隠れた奥の部分をどう表現するのか」といった疑問はよく生じます。この記事では、建築設計の現場や授業で役立つアクソメ図の描き方の基本を解説します。

アクソメ図とは何か

アクソメ図は、立体物を斜め上から見たように表現する図法で、建物全体の構造や空間関係をわかりやすく示すことができます。特に建築設計の初期段階やプレゼンテーションで、平面図や立面図では伝わりにくい空間の「イメージ」を補足する役割があります。

正確な寸法を表現するためではなく、理解や共有を目的とすることが多いため、描き方のルールは状況に応じて工夫が必要です。

階が重なる部分をどう表現するか

上の階と下の階が重なる場合、下の階の形状を完全に隠してしまうと空間の構造が伝わりにくくなります。このようなときには「透かし表現」が有効です。

具体的には、下の階を破線やグレーの細い線で描くことで「存在はしているが上階に覆われている」ことを表現できます。この方法は建築パースでもよく使われる手法で、透視図と同じ考え方で応用できます。

手前の物体に隠れる奥の部分の描き方

アクソメ図では手前のものが奥を隠してしまうことがあります。この場合、奥を全く描かないと構造が不明確になりますが、逆にそのまま描くと不自然に見えることもあります。

解決策としては、奥の線を破線や淡いトーンで描く方法があります。例えば、壁の後ろに階段がある場合、その階段を破線で表現することで「この位置に存在する」という情報を読者に伝えることができます。

建築製図でよく使われる線の表現

建築図面では線の種類や太さに意味があります。アクソメ図でも同様に、以下のような工夫をすることで図面の理解度が高まります。

  • 太線:手前や主要な構造を強調
  • 細線:奥や補助的な部分
  • 破線:隠れた部分の表現

このように線を使い分けることで、情報の優先度を自然に読み取れる図面になります。

実際の課題での工夫例

例えば、複数階の住宅を描く課題であれば、2階部分をしっかり描いた上で、1階の輪郭を淡く透かして描き込むと、建物全体の空間関係が視覚的に理解しやすくなります。

また、家具や柱などが奥の要素を隠している場合には、破線を活用するか、必要に応じて部分的な切断図や詳細図を別途用意すると効果的です。

まとめ

アクソメ図は「空間の理解を助けるための図」であり、必ずしも厳密なルールに縛られる必要はありません。階が重なる場合は透かし表現、奥が隠れる場合は破線や淡い線を活用するのが基本です。線の強弱や描き方の工夫を意識することで、見る人にとってわかりやすい図面が完成します。

授業や課題では、担当教員の指導方針に沿うことが大切ですが、ここで紹介した表現方法を取り入れることで、より完成度の高いアクソメ図が描けるでしょう。

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