この問題では、化学反応式が示され、その後の液体の性質が問われています。反応式の中で出てくる塩基性を示す成分や加水分解の影響について、具体的に考察していきます。反応後に残る成分がどのように液体の性質に影響を与えるのかを明確にすることで、質問への答えを導きます。
1. 反応式とその内容
反応式は以下のようになります。
3Ag₂S + 6 NaHCO₃ + 2Al + 3H₂O → 6Ag + 2 Al(OH)₃ + 3CO₂ + 3H₂S
この反応においては、アルミニウム(Al)が化学反応を引き起こし、硫化水素(H₂S)と二酸化炭素(CO₂)が生成されます。また、アルミニウム水酸化物(Al(OH)₃)も生成されます。
2. 反応後の液体の性質
反応後の液体には、二酸化炭素(CO₂)と硫化水素(H₂S)が含まれています。これらの物質は、それぞれ酸性を示す成分です。しかし、この液体が最終的に塩基性である理由は、生成されたCO₃²-(炭酸塩)イオンの加水分解反応によるものです。
3. 炭酸塩の加水分解による塩基性の説明
炭酸塩(CO₃²-)は水と反応して、次のような加水分解を起こします。
CO₃²- + H₂O → HCO₃- + OH-
この反応により水酸化物イオン(OH-)が生成され、液体が塩基性を示します。炭酸塩の加水分解が優先されるため、最終的に液体は塩基性を帯びることになります。
4. 硫化水素と二酸化炭素の影響
反応中に生成された硫化水素(H₂S)は酸性を示しますが、反応後の液体には既に炭酸塩が加わっているため、酸性の影響は補正されます。二酸化炭素(CO₂)も酸性を示しますが、炭酸塩が加水分解を行うため、最終的には塩基性の影響が強くなります。
5. 結論:塩基性の効果が強い理由
この反応後の液体が塩基性になる主な理由は、炭酸塩イオンの加水分解によって生成される水酸化物イオン(OH-)の影響が大きいからです。硫化水素や二酸化炭素などの酸性成分は存在しますが、これらの影響よりも炭酸塩の加水分解による塩基性の効果が支配的です。
したがって、液体の性質は最終的に塩基性となります。これが反応後の液体が塩基性を示す根拠です。


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