数学における関数の性質として、全単射という重要な概念があります。ここでは、関数f:X→Yが全単射であるとき、その逆関数f⁻¹:Y→Xも全単射であることを証明します。全単射関数の性質をしっかりと理解することは、関数の逆関数やその性質を学ぶ上で基礎となります。
1. 全単射とは
関数f:X→Yが全単射であるとは、次の2つの条件を満たすことを意味します。
- 「単射」:任意のx₁, x₂ ∈ Xに対して、f(x₁) = f(x₂)ならばx₁ = x₂。すなわち、異なる入力値に対して異なる出力値が対応する。
- 「上への写像」:任意のy ∈ Yに対して、少なくとも1つのx ∈ Xが存在し、f(x) = yが成立する。すなわち、全てのyに対してxが存在する。
この2つの性質を満たす関数を全単射と呼びます。
2. 逆関数の定義と全単射の関係
関数fが全単射である場合、その逆関数f⁻¹は定義されます。逆関数f⁻¹:Y→Xは、f(x) = yという関係を逆転させて、yに対応するxを返す関数です。
逆関数f⁻¹が定義されるための条件は、fが全単射であることです。全単射であることにより、fは各y ∈ Yに対して一意に対応するx ∈ Xが存在するため、逆関数が明確に定義されます。
3. 逆関数が全単射であることの証明
ここで、関数f:X→Yが全単射であるとき、その逆関数f⁻¹:Y→Xが全単射であることを証明します。逆関数が全単射であることを示すためには、以下の2つの条件を確認します。
- 「単射」:f⁻¹が単射であるためには、任意のy₁, y₂ ∈ Yについて、f⁻¹(y₁) = f⁻¹(y₂)ならばy₁ = y₂が成立することを示す。
- 「上への写像」:f⁻¹が上への写像であるためには、任意のx ∈ Xについて、f⁻¹(x) = yとなるy ∈ Yが存在することを示す。
まず、fが単射であることから、f⁻¹も単射であることが示されます。次に、fが上への写像であるため、f⁻¹も上への写像になります。
4. 具体的な証明の流れ
具体的に証明すると、fが全単射であるとき、任意のy₁, y₂ ∈ Yについて、f⁻¹(y₁) = f⁻¹(y₂)が成立すれば、f(f⁻¹(y₁)) = f(f⁻¹(y₂))となり、y₁ = y₂が導かれます。これにより、f⁻¹が単射であることが示されます。
また、fが上への写像であるため、任意のy ∈ Yに対して、f⁻¹(y)がX内で必ず存在します。これにより、f⁻¹は上への写像であることが証明されます。
5. まとめ
関数f:X→Yが全単射であるとき、その逆関数f⁻¹:Y→Xも全単射であることが証明されました。全単射の特徴として、逆関数が一意に定義され、逆関数も全単射であるという性質を持ちます。これにより、全単射関数の逆関数についての理解が深まり、数学的な証明の基礎を学ぶことができます。


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