古文の解釈は、現代語訳を正確に理解するために重要です。特に難解な部分については、品詞分解を通じてその意味を把握することが必要です。今回は、古文「いでや、先々も参り侍りて、御ありさまもうけ給はらまほしうは思ひ給へ立ちながら、よろづ思ひ給へつつみてなむ、心ざしのほどをも、今までえ御覧ぜさせ侍ざりし。」の一部を取り上げ、品詞分解と解釈を行います。
1. 「御ありさまもうけ給はらまほしう」の品詞分解
「御ありさまもうけ給はらまほしう」を品詞分解すると、次のようになります。
- 御ありさま(名詞): ここでは「ありさま」が「様子、状態」を意味し、接頭語「御」がついて敬語として使われています。
- もうけ(動詞の連用形): 「もうける」は、元々「設ける、準備する」という意味ですが、ここでは「もうける」という意味で「準備を整える」「様子を見守る」といったニュアンスになります。
- 給はら(動詞の未然形+尊敬の助動詞): 尊敬の助動詞「給ふ」が未然形「給は」に接続しています。
- まほしう(形容詞「まほし」+「う」): 「まほし」は「希望する」「望ましい」を意味し、ここでは「まほしう」はその希望を表現しています。
したがって、「御ありさまもうけ給はらまほしう」は、相手の状態や様子を見守りながら、それを整えたく願うという意味になります。
2. 現代語訳における解釈
現代語訳における「御ありさまもうけ給はらまほしう」の部分は、「ご様子を拝見したいと思いながら、それを整えたく思う」という意味になります。最初に言及された「もうける(準備する)」が「様子を拝見する」という意味に変化する理由は、古語における言葉のニュアンスの違いにあります。
「もうける」は本来、物理的な準備を表す動詞でしたが、転じて「整える」「調整する」といった意味にも使われます。このため、「様子を拝見する」といった抽象的な意味へとつながるわけです。
3. 古語と現代語の違い
古文では、現代語にはない言葉や表現が多く登場します。例えば、「もうける」という動詞は現代語ではほとんど使われませんが、古語では広い意味で「準備する」や「整える」という使い方をされていました。こうした違いが、現代語訳において混乱を生むことがあります。
また、古文における「まほしう」のように、希望や願望を表す形容詞が使われることで、単なる事実を述べるのではなく、感情や思いを込めた表現がされていることが多いです。
4. 言葉の意味の変遷と文脈の重要性
言葉の意味は時代と共に変わるため、古文を現代語に翻訳する際は、その言葉が使われていた時代背景や文脈を十分に考慮することが必要です。特に文学作品では、言葉に込められた感情や深い意味を理解することが重要です。
また、同じ言葉でも文脈によって解釈が異なることがあるため、古文を学ぶ際は文脈を重視して解釈することが大切です。たとえば、同じ「もうける」でも、状況や使用される場面によって異なるニュアンスを持つことがあります。
5. まとめ
「御ありさまもうけ給はらまほしう」は、古語の品詞やその意味を理解することで、現代語にうまく翻訳できます。古文では、言葉の意味や使い方に注意を払うことで、文章全体の意図や感情がよく理解できるようになります。
このように、古文を学ぶことは単なる言葉の理解を超えて、言葉の背後にある文化や歴史を感じ取ることにも繋がります。


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