論理式において、∀x(¬P(x)∨¬Q(x)) と ∀x¬P(x)∨∀x¬Q(x) の2つは一見似たような表現ですが、実は異なる意味を持っています。この記事では、これら2つの論理式が同じ意味になるかどうかを解説し、それぞれの違いを明確に説明します。
論理記号の基本
まず、論理式の記号について理解しておく必要があります。∀x は「すべての x に対して」という意味であり、¬ は「否定」を意味します。∨ は「または」の論理演算子です。これらの基本的な記号が、論理式の解釈にどのように影響するかを理解することが重要です。
例えば、¬P(x) は「P(x) が偽である」という意味です。また、∨ は論理和を表し、P(x) ∨ Q(x) は「P(x) または Q(x) のいずれかが真である」という意味になります。
∀x(¬P(x)∨¬Q(x)) の解釈
∀x(¬P(x)∨¬Q(x)) は、すべての x に対して、P(x) が偽または Q(x) が偽であるという意味です。つまり、各 x に対して少なくとも一方(P(x) または Q(x))が偽でなければならない、ということを示しています。
この論理式は、個々の x に対してP(x) または Q(x) がどちらかが成り立たない(偽である)ことを要求しています。
∀x¬P(x)∨∀x¬Q(x) の解釈
一方で、∀x¬P(x)∨∀x¬Q(x) は、「すべての x に対して P(x) が偽である」または「すべての x に対して Q(x) が偽である」という意味です。つまり、x のすべてについて、P(x) が常に偽であるか、Q(x) が常に偽である必要があります。
この論理式は、P(x) または Q(x) がすべての x で成立しない(偽である)ことを要求しています。
違いと同じ意味になるか
最初の式 ∀x(¬P(x)∨¬Q(x)) は、すべての x において少なくとも一方(P(x) または Q(x))が偽であることを要求しますが、第二の式 ∀x¬P(x)∨∀x¬Q(x) は、P(x) または Q(x) のどちらかが全ての x に対して偽でなければならないという要求です。
このため、これらの論理式は通常、同じ意味にはなりません。前者は個々の x について条件が満たされることを要求し、後者は x 全体に対してどちらかの条件が成り立つことを要求します。
まとめ
∀x(¬P(x)∨¬Q(x)) と ∀x¬P(x)∨∀x¬Q(x) の2つの論理式は似ているように見えますが、実際には異なる意味を持っています。前者は個々の x に対して条件が満たされることを求め、後者は x 全体に対して条件が満たされることを求めています。この違いをしっかりと理解することが、論理学を学ぶ上で非常に重要です。

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