Fe^(2+)とPb^(2+)の水溶液における硫化水素反応による沈殿の有無

化学

Fe^(2+)とPb^(2+)を含む水溶液に硫化水素を通じたとき、沈殿が生じるかどうかを判断するためには、各金属の硫化物(FeS、PbS)の溶解度積(Ksp)を計算し、S^(2-)濃度との比較を行います。本記事では、FeSとPbSの溶解度積と、それらの反応に基づく計算方法を解説します。

FeSとPbSの沈殿の条件

まず、FeSとPbSが沈殿するためには、それぞれの金属イオンと硫化物イオン(S^(2-))の濃度の積が、各物質の溶解度積(Ksp)を超える必要があります。FeSの溶解度積は5.0×10^(-18)で、PbSの溶解度積は3.6×10^(-28)です。

FeSの沈殿条件

FeSの反応において、Fe^(2+)とS^(2-)の濃度積は次のように計算されます:
[Fe^(2+)][S^(2-)] = 0.10 mol/L × 1.0×10^(-22) mol/L = 1.0×10^(-23) mol^2/L^2
この値はFeSの溶解度積5.0×10^(-18)よりも小さいため、FeSは沈殿しません。

PbSの沈殿条件

次に、PbSについて同様に計算します:
[Pb^(2+)][S^(2-)] = 0.10 mol/L × 1.0×10^(-22) mol/L = 1.0×10^(-23) mol^2/L^2
この値はPbSの溶解度積3.6×10^(-28)よりも大きいため、PbSは沈殿します。

結論

FeSは溶解度積の条件を満たさないため沈殿しませんが、PbSは溶解度積を超えるため、一部が沈殿します。

CaSO4の沈殿の計算

次に、CaSO4の沈殿について解説します。希硫酸と塩化カルシウムを混合した場合、CaSO4がどれくらい沈殿するかを計算します。CaSO4の溶解度積Kspは4.00×10^(-5)です。

計算手順

まず、Ca^(2+)とSO4^(2-)の濃度はそれぞれ2.00×10^(-2) mol/Lとなります。Kspの式は次のように表せます:
Ksp = [Ca^(2+)][SO4^(2-)] = 4.00×10^(-5) mol^2/L^2
次に、CaSO4の飽和濃度を求め、残りのCa^(2+)とSO4^(2-)の濃度差から沈殿したCaSO4の質量を計算します。計算式は次の通りです:
[{2.00×10^(-2) mol/L – 6.32×10^(-3) mol/L} × 200 mL / 1000] × 136.0 g/mol = 372 mg

まとめ

FeSは溶解度積を下回っているため沈殿しませんが、PbSは溶解度積を超えるため沈殿します。CaSO4の計算方法を理解することで、化学反応における沈殿の挙動を予測することができます。

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