微分方程式系の安定性を調べるために、まず平衡点を求め、その後、リャプノフ関数や線形化を用いて安定性を調べます。この記事では、与えられた微分方程式系「dx/dt = y, dy/dt = -sin(x)」について平衡点を求め、その安定性を分析する方法を解説します。
1. 微分方程式系の確認
問題で与えられた微分方程式系は以下の通りです。
- dx/dt = y
- dy/dt = -sin(x)
この系は、xとyの関係を示す非線形な微分方程式です。まず、平衡点を求めるためには、この系が静止する点を見つける必要があります。
2. 平衡点の求め方
平衡点は、dx/dt = 0 および dy/dt = 0 が成り立つ点です。この条件を満たす点を求めるために、まず微分方程式を整理します。
dx/dt = 0 より、y = 0 です。
次に、dy/dt = 0 より、-sin(x) = 0 です。この式を解くと、x = nπ (nは整数) となります。
したがって、平衡点は (x, y) = (nπ, 0) です。これが求める平衡点です。
3. 安定性の解析
次に、平衡点の安定性を調べるために、線形化を行います。微分方程式系を線形化するために、Jacobi行列を計算します。Jacobi行列は、次のように求めます。
dx/dt = y に対する偏微分、dy/dt = -sin(x) に対する偏微分をそれぞれ計算します。
- ∂(dx/dt)/∂x = 0, ∂(dx/dt)/∂y = 1
- ∂(dy/dt)/∂x = -cos(x), ∂(dy/dt)/∂y = 0
したがって、Jacobi行列は以下のようになります。
J = [0, 1; -cos(x), 0]
次に、平衡点 (x, y) = (nπ, 0) におけるJacobi行列を評価します。x = nπ を代入すると、cos(nπ) = (-1)^n となります。
Jacobi行列は次のようになります。
J = [0, 1; (-1)^n, 0]
4. 安定性の判定
Jacobi行列の固有値を求めることで、安定性を判定できます。固有値は次のように求められます。
det(J – λI) = 0
これを解くと、固有値は λ = ±i(-1)^n となります。固有値が虚数である場合、平衡点はリミットサイクルを持ち、安定でない場合もあります。
具体的には、nが偶数のとき、固有値は ±i となり、振動する安定なリミットサイクルが形成され、nが奇数のとき、同様に振動するものの、安定な動きがなくなります。
5. まとめ
微分方程式系「dx/dt = y, dy/dt = -sin(x)」の平衡点は (x, y) = (nπ, 0) であり、安定性はnの値によって異なります。固有値を用いた線形化の結果、平衡点の安定性は振動するリミットサイクルであることが分かりました。この解析方法により、非線形微分方程式のシステムの安定性を効率的に調べることができます。


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