微分方程式系の解析において、平衡点を求め、その安定性を調べることは非常に重要です。今回は、次のような微分方程式系を例に、その平衡点を求め、安定性を調べる方法を解説します。
微分方程式系の概要
与えられた微分方程式系は次の通りです。
dx/dt = y
dy/dt = -γy - sin(x)
ここで、γは正の定数です。
この方程式系は、2つの変数xとyを含んでおり、それぞれの微分がどのように時間tに依存するかを示しています。平衡点を求めるためには、各微分方程式を0にする必要があります。
平衡点の求め方
平衡点とは、dx/dt = 0 かつ dy/dt = 0 を満たす点です。この条件をもとに、次の式を立てます。
dx/dt = y = 0
dy/dt = -γy - sin(x) = 0
最初の式から、y = 0 となります。次に、y = 0 を代入した後の2番目の式を解くと、sin(x) = 0 となり、x = nπ (nは整数) という解が得られます。
したがって、微分方程式系の平衡点は、(x, y) = (nπ, 0) となります。
安定性の解析
次に、この平衡点の安定性を調べます。安定性を調べるためには、ヤコビ行列を求め、その固有値を調べる方法が一般的です。ヤコビ行列は次のように求めます。
微分方程式系を行列形式で表すと、次のようになります。
f(x, y) = (dx/dt, dy/dt) = (y, -γy - sin(x))
これに対して、ヤコビ行列Jは次のように計算されます。
J = [[∂f1/∂x, ∂f1/∂y], [∂f2/∂x, ∂f2/∂y]]
ここで、f1(x, y) = y および f2(x, y) = -γy – sin(x) の偏微分を計算すると、ヤコビ行列Jは次のようになります。
J = [[0, 1], [-cos(x), -γ]]
平衡点(x, y) = (nπ, 0) におけるヤコビ行列は次のようになります。
J = [[0, 1], [-1, -γ]]
次に、この行列の固有値を求めます。固有値は次のように計算できます。
det(J - λI) = 0
ここで、λは固有値、Iは単位行列です。
行列式を計算すると、次のような方程式が得られます。
λ^2 + γλ + 1 = 0
この方程式を解くと、固有値は次のようになります。
λ = (-γ ± √(γ^2 - 4)) / 2
この固有値の実部が負であれば、平衡点は安定です。γ > 0 であれば、実部が負となり、平衡点は安定となります。
まとめ
今回の微分方程式系の平衡点は、(x, y) = (nπ, 0) であり、この平衡点はγ > 0 で安定です。この安定性の解析は、ヤコビ行列を用いて固有値を求めることで行い、平衡点の安定性を確認することができました。微分方程式の安定性解析は、物理学や工学のさまざまな分野で重要な役割を果たします。
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