物理の学習において、バネと重りを使った単振動は代表的なテーマのひとつです。特に「重力と弾性力が釣り合った時の点を基準として振動するのか?」という疑問は、多くの学習者がつまずきやすい部分です。この記事では、その仕組みをわかりやすく解説します。
バネの弾性力と重力の関係
バネに質量を吊るすと、重力によってバネが自然長から伸びます。このとき、ある点でバネの弾性力と重力が釣り合い、物体は静止します。この点は「平衡位置」と呼ばれ、自然長からの伸びをxと表します。
例えば、質量mの物体を吊るした場合、mg = kx という関係が成り立ちます(kはバネ定数)。
単振動が起こる仕組み
平衡位置からさらに物体を上下に動かすと、バネの弾性力と重力の差が生じ、その差が復元力として働きます。この復元力が物体を再び平衡位置に戻そうとするため、単振動が発生します。
つまり、単振動の中心は自然長ではなく、重力とバネの力が釣り合った平衡位置になります。
例題で理解する
質量0.2kgの物体を、バネ定数20N/mのバネに吊るしたとします。このとき、平衡位置の伸びは次のように計算できます。
mg = kx → 0.2 × 9.8 = 20x → x ≒ 0.098m
したがって、自然長から約9.8cm伸びた位置が単振動の中心(平衡位置)となります。
運動方程式の視点
運動方程式で考えると、平衡位置を原点とした座標を設定すると、F = -kx'(x’は平衡位置からの変位)という式が得られます。これは典型的な単振動の式であり、物体は平衡位置を中心に等しい周期で振動することがわかります。
まとめ
バネの単振動における中心点は重力と弾性力が釣り合う平衡位置であり、自然長ではありません。平衡位置を中心に物体は周期的に揺れ動きます。この理解は、単振動の問題を解く際の基礎となる大切なポイントです。


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