金利が上がると債券価格が下がるという理屈は、金融市場における基本的な法則の一つです。では、なぜ金利が上がると債券価格が下がるのでしょうか?本記事では、そのメカニズムを解説し、既発債券と新発債券の関係や、長期保有の重要性についても触れていきます。
金利上昇が債券価格に与える影響
債券は、定められた期間中に一定の利息(クーポン)を支払う金融商品です。金利が上昇すると、新しく発行される債券はより高い利率を提供することになります。これにより、既発債券の魅力が低下します。例えば、1%の利回りを提供する既発債券があった場合、金利が2%に上昇すると、投資家は新たに発行される2%の債券を選ぶことになります。このため、既発債券の価格が下がることになります。
これは、既発債券を購入した投資家が受け取る利息が、現行の市場金利に対して相対的に低くなるためです。そのため、既発債券を売却したい場合、投資家は新たに発行される債券と同じ利率で売却できるように、価格が下がることになります。
既発債券と新発債券の比較
既発債券が新発債券よりも不利になる理由は、前述の通り、金利の変動によりその魅力が減少するからです。投資家は、新たに発行される債券の方が高い利回りを得られるため、既発債券の需要が低下し、価格が下がるのです。
一方で、既発債券が下落したとしても、最終的に償還される際には額面通りに返済されるため、保有し続けることで元本を回収することができます。これにより、償還時点ではインフレ分を除いても、元本が返されるというメリットがあるのです。
長期保有の重要性と投資戦略
金利が上昇した場合、短期的には債券の価格が下がりますが、長期的には償還される際に元本が返済されるため、大きなリスクはありません。したがって、長期的に債券を保有することを前提にする投資家にとっては、金利上昇による一時的な価格下落はそれほど重要な要因ではないとも言えます。
ただし、売却を前提としている投資家や、金利変動に敏感なポートフォリオを運用している投資家にとっては、金利上昇による価格下落は大きなリスクとなり得ます。
まとめ
金利上昇が債券価格に与える影響は、既発債券の魅力を低下させるためです。しかし、債券は償還時に元本が返されるため、長期保有者にとっては金利上昇の影響を受けにくい投資商品であるとも言えます。債券の投資戦略は、金利の変動にどう対応するかを考慮しつつ、長期的な視点で保有を続けることが大切です。


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