この問題では、過酸化水素水の濃度を求めるための滴定反応を利用しています。過酸化水素の濃度を求めるために、ヨウ化カリウム水溶液とチオ硫酸ナトリウム水溶液を使った化学反応が行われます。本記事ではその過程を詳しく解説し、図を交えて理解を深めます。
問題の概要
過酸化水素水(H₂O₂)の濃度を求めるために、以下の化学反応が行われました。
- 過酸化水素水5.00mLに希硫酸を加え、酸性にします。
- 次に、0.100mol/Lのヨウ化カリウム水溶液40.00mLを加え、過酸化水素とヨウ化物イオン(I⁻)が反応して、ヨウ素(I₂)が生成されます。
- 次に、デンプン水溶液数滴を加えると、生成したヨウ素がデンプンと反応して青紫色に変色します。
- その後、0.100mol/Lのチオ硫酸ナトリウム水溶液で滴下を行い、青紫色が消失する時点でのチオ硫酸ナトリウムの量から過酸化水素の濃度を求めます。
反応式の確認
過酸化水素とヨウ化カリウム水溶液の反応は以下のように示されます。
2 I⁻ + H₂O₂ + 2 H⁺ → I₂ + 2 H₂O
生成されたヨウ素(I₂)は、デンプンと反応して青紫色を呈します。その後、青紫色を消失させるために、チオ硫酸ナトリウムがI₂と反応します。
I₂ + 2 S₂O₃²⁻ → 2 I⁻ + S₄O₆²⁻
計算の流れ
1. まず、チオ硫酸ナトリウム水溶液の使用量からI₂のモル数を計算します。チオ硫酸ナトリウムのモル数は、反応のストイキオメトリからI₂のモル数に対応します。滴下したチオ硫酸ナトリウム水溶液の量は11.0mL(0.0110L)であり、濃度は0.100mol/Lです。よって、I₂のモル数は次のように計算できます。
モル数 = 0.0110 L × 0.100 mol/L = 0.00110 mol
2. 次に、ヨウ素(I₂)のモル数から過酸化水素のモル数を求めます。反応式に従い、I₂とH₂O₂のモル比は1:1なので、I₂のモル数とH₂O₂のモル数は同じです。したがって、過酸化水素のモル数は0.00110 molです。
3. 最後に、過酸化水素の濃度を求めます。過酸化水素の体積は5.00mL(0.00500L)であり、濃度は次のように計算できます。
濃度 = 0.00110 mol ÷ 0.00500 L = 0.220 mol/L
図による解説
以下に、反応の流れを示す図を示します。
まとめ
この問題では、ヨウ化カリウムとチオ硫酸ナトリウムを用いた滴定反応を通じて、過酸化水素水の濃度を求めました。化学反応のストイキオメトリを利用して、必要な計算を行いました。最終的に、過酸化水素の濃度は0.220 mol/Lと求められました。


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