『防人歌』の和歌「父母が頭かき撫で幸くあれて言ひし言葉ぜ忘れかねつる」の表現技法と、その表現技法が使われている場所について解説します。
和歌の書き下しと意味
和歌「父母が頭かき撫で幸くあれて言ひし言葉ぜ忘れかねつる」の書き下しは以下の通りです。
「父母が頭かき撫で幸くあれて言いし言葉ぜ忘れかねつる」
この和歌は、兵士が母親に別れの言葉を告げられたシーンを描いています。母親の愛情とその言葉の重みが、兵士の心に深く残っていることが表現されています。
表現技法について
この和歌の表現技法として重要なのは「反復表現」です。具体的には、「忘れかねつる」という表現です。この言葉は「忘れることができない」という感情を強調しており、兵士が母親の言葉を永遠に忘れられないことを示しています。また、母親の「頭かき撫で」の描写も、愛情を象徴する優しい動作として、兵士が母親の思いを胸に刻んでいることを表しています。
さらに、「幸くあれて」という言葉も、兵士が母親の言葉を受けて自らの使命を全うしようとする決意を反映しています。この表現技法は、母親の愛が兵士の心に深く刻まれており、使命を果たす原動力となる様子を描いています。
表現技法の使われている場所
この表現技法は『防人歌』の中で頻繁に使用されています。防人歌全体において、兵士が家族や愛する人々との別れを描きながら、戦場へと向かう心情が表現されています。兵士たちの心情をより強調するために、反復表現や情感豊かな言葉が使われており、母親から受けた言葉が兵士にとってどれほど大きな影響を与えているかが表現されています。
まとめ
『防人歌』の和歌「父母が頭かき撫で幸くあれて言ひし言葉ぜ忘れかねつる」における表現技法は、兵士の心情や母親の愛情が深く印象に残るように描かれています。反復表現や優しい動作の描写を通じて、母親からの言葉が兵士に与えた影響が強調されており、この表現技法は『防人歌』全体に通じるテーマとなっています。


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