原始地球における月の形成についてはさまざまな仮説がありますが、質問者の提案する「自転が速くなり、外縁部が引きちぎれて月ができた」という考え方にはいくつかの誤解が含まれています。今回は、この説に関する疑問点を解説し、どの部分が誤りであるかを説明します。
月誕生説の概要
月の起源に関する最も広く受け入れられている理論は、「巨大衝突説」です。この説によると、地球と火星サイズの天体が衝突し、その破片が集まって月が形成されたとされています。これに対して、質問者が提案した「自転が速くなり、外縁部が引きちぎれて月ができた」という仮説は、物理的な観点からは矛盾が含まれています。
自転が速くなった場合の問題点
自転が速くなった結果、外縁部が引きちぎれるという現象を考えた場合、まず重要なのは角運動量保存の法則です。角運動量が保存されるためには、外縁部が引きちぎれることなく、むしろ地球と月のシステム全体が回転している必要があります。地球が速く自転することで月が形成されるという考え方は、実際には天体の進化に矛盾を生じる可能性があります。
外縁部が引きちぎれる理由の再検討
もし地球の自転が速くなった場合、外縁部が引きちぎれることは理論的に難しいと言えます。実際には、自転が速くなると、地球の重力がその外縁部を引きつける力が強くなるため、引きちぎれることはありません。むしろ、地球の自転が速くなりすぎると、赤道部分での引力が弱まる可能性があり、これは月を形成するどころか、他の天体を引き寄せる力に変わる可能性が高いです。
現在の理解に基づく月形成説
現在、月の起源に関する主流の説は、「巨大衝突説」として知られています。この説では、約45億年前、地球と火星サイズの天体が衝突し、その破片が地球の周りに集まって月を形成したとされています。この理論が支持される理由は、月の化学組成が地球に似ており、衝突による破片が集まった結果として月が形成されたと説明できるからです。
まとめ
質問者が提案した「自転が速くなり、外縁部が引きちぎれて月ができた」という仮説は、物理的な観点からいくつかの誤解を含んでいます。月の形成には、巨大衝突説が最も広く受け入れられており、この説が地球と月の関係性を最も適切に説明しています。
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