本記事では、2変数関数の微分におけるヘッセ行列とその符号を用いた極値の判定方法について解説します。特に、1変数関数の微分が理解できている状態を前提に、2変数関数の極値判定における新たな概念を順を追って説明します。
1. 2変数関数の微分の基礎
1変数関数では、関数の微分がその傾き(接線の傾き)を示しますが、2変数関数では、微分は関数の変化率を2つの方向で評価することになります。具体的には、偏微分を使って、x方向とy方向の変化をそれぞれ求めます。これが基本となる考え方です。
2. ヘッセ行列の定義とその計算
ヘッセ行列は、2変数関数の2階の偏微分を集めた行列です。一般的に、関数f(x, y)に対して、ヘッセ行列Hは次のように表されます。
H = [[f_xx, f_xy], [f_yx, f_yy]]
ここで、f_xx、f_xy、f_yx、f_yyはそれぞれ2階の偏微分です。この行列は、関数がどのように変化するか、そしてその曲率がどのような形をしているかを示します。
3. ヘッセ行列を用いた極値判定
ヘッセ行列を使った極値の判定方法は、次の3つの条件をチェックすることによって行います。
- ヘッセ行列の行列式(D)が正で、f_xx(x方向の2階微分)が正なら、最小値が得られます。
- ヘッセ行列の行列式(D)が正で、f_xxが負なら、最大値が得られます。
- ヘッセ行列の行列式(D)が負なら、鞍点(最大でも最小でもない点)です。
これらの条件を使って、2変数関数の極値を判定することができます。行列式とその符号が、関数の変化を正確に表すのです。
4. 2変数関数の極値判定の実例
実際に、2変数関数を使って極値判定を行う場合、まずは関数を微分して、ヘッセ行列を求めます。次に、行列式を計算して、判定基準に従って極値を確認します。この方法を使うことで、直感的に極値を求めることができ、複雑な関数でも計算可能になります。
5. まとめと実務での活用方法
ヘッセ行列は、2変数関数の極値判定において非常に強力なツールです。微分の基礎的な理解を踏まえて、この方法を学ぶことで、実際の数学や物理の問題で有用に活用することができます。これを応用することで、複雑な関数の挙動を解析する力が養われます。


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