熱容量や比熱の問題は、エネルギーの保存を基に解くことができます。ここでは、銅製容器と水、金属球の間で熱が移動する問題を取り上げ、金属球の比熱を求める方法を解説します。
問題の理解と基本的な方程式
まず問題を整理しましょう。銅製容器(熱容量84J/K)に水100g(比熱4.2J/gK)が入っており、温度が25°Cです。そこに78°Cの金属球110gを入れたところ、全体の温度が36°Cになったとき、金属球の比熱を求める問題です。
エネルギーの保存法則に基づいて、全ての物体は温度が変化する際に熱エネルギーをやり取りします。この問題では、容器、金属球、水のそれぞれの熱エネルギーの変化を考えます。
熱エネルギーの計算方法
まず、各物体が放出または吸収した熱量を求めます。熱量の計算式は次の通りです。
Q = mcΔT
ここで、Qは熱量、mは質量、cは比熱、ΔTは温度変化です。
水の熱量
水の質量は100g、比熱は4.2J/gK、温度変化は25°Cから36°Cへの変化です。これを計算すると。
Q(水) = 100 × 4.2 × (36 – 25) = 100 × 4.2 × 11 = 4620J
銅製容器の熱量
銅製容器の熱容量は84J/K、温度変化は25°Cから36°Cへの変化です。これを計算すると。
Q(容器) = 84 × (36 – 25) = 84 × 11 = 924J
金属球の熱量
金属球は78°Cから36°Cに温度が下がったので、放出した熱量は。
Q(球) = 110 × C × (36 – 78)
ここで、Cは金属球の比熱です。温度変化は36°C – 78°C = -42°Cとなるため、金属球が放出した熱量は負の値になります。
エネルギーの保存法則の適用
エネルギーの保存法則により、熱の総和はゼロになります。したがって、水と容器が吸収した熱量の合計は、金属球が放出した熱量と等しくなります。
4620J + 924J = 110 × C × (-42)
これを解くことで、金属球の比熱Cが求まります。
5544 = 110 × C × (-42)
C = 5544 ÷ (110 × 42) = 5544 ÷ 4620 ≈ 1.2 J/gK
まとめ
この問題では、エネルギーの保存を用いて、水、容器、金属球の熱量を計算し、その関係から金属球の比熱を求めました。計算の結果、金属球の比熱は約1.2J/gKであることがわかりました。


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