MOSFETの経年劣化による閾値電圧の変化は、デバイスの動作に大きな影響を与える可能性があります。特に、劣化したMOSFETと劣化していないMOSFETを直列接続した場合、これらのデバイスを通過するソースドレイン電流はどのように表現できるのでしょうか。今回はその計算方法を詳しく解説します。
1. MOSFETの基本的な動作
MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)は、閾値電圧(Vth)を超えるゲート電圧がかかることでオン状態になります。通常、Vthはデバイスがスイッチング動作を行うための最小電圧です。経年劣化が進むと、Vthが上昇することがあり、これがデバイスの動作に影響を与えます。
2. MOSFETが直列接続された場合の動作
MOSFETが直列に接続されると、流れるソースドレイン電流(Ids)は、各デバイスがオン状態になるために必要なゲート電圧によって制限されます。劣化したMOSFETはVthが上昇しているため、オン状態になるためのゲート電圧が高くなります。
3. 経年劣化したMOSFETと正常なMOSFETの直列接続
経年劣化したMOSFETと劣化していないMOSFETが直列接続されている場合、全体のソースドレイン電流は、両方のMOSFETが動作するために必要な電圧を満たす必要があります。劣化したMOSFETは通常よりも高いゲート電圧を必要とするため、両方のMOSFETがオン状態になるための最小ゲート電圧は、劣化したMOSFETのVthを基準に決定されます。
4. ソースドレイン電流の計算式
直列接続されたMOSFETにおいて、ソースドレイン電流Idsは次のように表現できます。まず、Vgs(ゲートソース電圧)が各MOSFETの閾値電圧を超えた場合に、電流が流れます。電流は、一般的なMOSFETの特性に基づく式を使用して計算しますが、経年劣化を考慮した場合、Vthが上昇しているため、次のような修正を加える必要があります。
Ids = K(Vgs – Vth)^2(Vgs > Vth)
ここで、KはMOSFETの定数、Vgsはゲートソース電圧、Vthは閾値電圧です。劣化したMOSFETの場合、Vthが上昇しているため、Vgsがそれに対応するように調整される必要があります。
5. まとめ
経年劣化したMOSFETと劣化していないMOSFETが直列接続された場合、ソースドレイン電流は劣化したMOSFETのVthに基づいて決定されます。これにより、全体のゲート電圧とソースドレイン電流が影響を受けるため、デバイスの動作を考慮して適切な設計が求められます。


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