日本の在来馬である北海道和種(道産子)と対州馬、そしてモウコノウマに遺伝的に近いのはどちらかについて、多くの方が疑問に思っていることです。この質問を遺伝学的な観点から詳しく解説します。
1. モウコノウマとその遺伝的背景
モウコノウマ(Equus ferus przewalskii)は現代家畜馬とは異なり、野生馬として知られています。モウコノウマは、現代の馬と異なる進化を経て、長い歴史を持つ古代の馬の系統です。モウコノウマはシベリアやモンゴルに分布しており、その遺伝子は現代の家畜馬よりも原始的です。
2. 北海道和種とその遺伝的特徴
北海道和種は、北ユーラシア(シベリア・モンゴル地域)の古い在来馬系統に起源を持っており、モウコノウマに近い遺伝子を有しています。近年のDNA解析によると、北海道和種はモンゴルやシベリアの馬と近い系統を維持しており、特にミトコンドリアDNAハプロタイプにおいて、モウコノウマと隣接する遺伝的系統を持っています。
3. 対州馬の遺伝的特徴
対州馬は、朝鮮半島経由で日本に伝来したとされ、遺伝的には家畜化された馬(DOM2系統)に近いとされています。対州馬は、北海道和種と比較して、遺伝子的にやや南方系統に近く、モウコノウマの祖先集団からはやや離れていると考えられています。
4. まとめ:どちらがモウコノウマに近いか
遺伝子学的な観点から見ると、モウコノウマに最も近いのは北海道和種です。これは、北海道和種が北ユーラシア系の古い馬の系統を維持しているためです。対州馬は、地理的に孤立し、朝鮮半島経由で伝来した家畜馬系統に近いため、遺伝的にはモウコノウマから距離があるとされます。
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