行列の積に関する問題で、特に上三角行列の積が再び上三角行列であることを証明する方法について解説します。この証明にはΣ(シグマ)記号を使用し、行列の積を計算する際の一般的な手順を示します。
上三角行列とは?
上三角行列とは、行列の下三角部分が全てゼロである行列を指します。具体的には、n×n行列Aが上三角行列である場合、行列Aの成分はA_{ij} = 0(i > j)となります。つまり、対角線より下の成分が全て0で、対角線上およびそれより上の部分に任意の値が含まれます。
例えば、次のような行列Aは上三角行列です。
A = \begin{pmatrix} a_{11} & a_{12} & a_{13} \ a_{21} & a_{22} & a_{23} \ 0 & a_{32} & a_{33} \end{pmatrix}
上三角行列の積が上三角行列であることの証明
次に、上三角行列の積が上三角行列であることを証明します。行列AとBが上三角行列であると仮定し、それらの積C = ABが上三角行列であることを示します。
行列AとBの成分をA = (a_{ij})、B = (b_{ij})とし、行列Cの成分をC = (c_{ij})で表します。行列の積の成分は、次のように計算されます。
c_{ij} = Σ_{k=1}^{n} a_{ik} b_{kj}
ここで、iは行、jは列を示します。上三角行列の定義により、Aのi > jにおける成分a_{ij}は0であり、Bのk > jにおける成分b_{kj}も0です。これを利用して、i > jの場合、c_{ij}が0であることを示します。
具体的には、i > jの場合、Σ_{k=1}^{n} a_{ik} b_{kj} のうち、k < j の場合はb_{kj}が0、k > iの場合はa_{ik}が0であるため、c_{ij}は必ず0となります。
証明の具体例
例えば、2×2行列AとBが上三角行列であると仮定します。
A = \begin{pmatrix} a_{11} & a_{12} \ 0 & a_{22} \end{pmatrix}, B = \begin{pmatrix} b_{11} & b_{12} \ 0 & b_{22} \end{pmatrix}
この場合、行列C = ABの成分は次のように計算できます。
c_{11} = a_{11} b_{11} + a_{12} b_{21}, c_{12} = a_{11} b_{12} + a_{12} b_{22}, c_{21} = 0, c_{22} = a_{22} b_{22}
ここで、c_{21}が0であることがわかります。したがって、行列Cは上三角行列です。
まとめ
上三角行列の積が上三角行列であることは、行列の積の定義と上三角行列の性質を利用することで簡単に証明できます。行列AとBが上三角行列であれば、その積Cもまた上三角行列であり、行列の積の成分をΣ記号を使って計算する際に、この特性を確認できます。


コメント