SRC造における鉄骨部材サイズの違いに関する設計意図

SRC造の建物において、1階から4階まで同じサイズの柱型を使用しているが、鉄骨部材（H型鋼）のサイズが異なる設計について質問を受けました。このような設計の意図や理由について、建築構造に詳しい方に向けて解説します。

1. 鉄骨部材のサイズが異なる設計意図

質問にあるように、1階・2階が200×200H型鋼、3階・4階が390×300H型鋼という設計は、見た目には逆絞り形状のようにも思えますが、これは建物の設計においてよく見られる手法です。鉄骨部材のサイズを階層ごとに変更することには、耐荷重や構造的な配慮が含まれています。

このような設計が採用される背景には、建物の各階にかかる荷重や使用目的の違いがあります。上階は通常、下階よりも荷重が軽くなる傾向があるため、上層の鉄骨部材を小さくすることでコスト削減が可能になります。また、上階に向かって部材の断面を小さくすることで、全体の構造のバランスを保つこともできます。

逆絞り形状にすることは、実は非常に効率的な構造設計の一つです。下層の部材が上層よりも大きくなることで、上からの荷重をより効率的に分散することができます。このような設計は、鉄骨構造が持つ強度特性や荷重分布を最大限に活かした方法と言えます。

質問の中で、収入の低い職場が関係するのではないかという懸念がありましたが、設計自体は収入や職場環境によって変わることはありません。構造設計は、あくまで建物の安全性と機能性を重視して行われます。ただし、予算に限りがある場合には、材料や工法を工夫することでコストを抑えることができます。

鉄骨部材のサイズを階ごとに変更することは、一般的な構造設計の一部であり、荷重の分散やコスト効率を考慮した合理的な選択です。設計者は建物の安全性と機能を最大限に考慮して、最適なサイズの鉄骨部材を選定しています。質問者の疑問も、構造設計の合理性を理解することで解消されることと思います。