和泉式部日記に登場する和歌「同じ枝に鳴きつつをりしほととぎす」の「をりし」という語について品詞分解を行い、その意味を解説します。この和歌の中で「をりし」がどのように使われているのか、またその文法的な背景を探ります。
1. 和歌の全文とその意味
まず、和歌の全文を確認しましょう。和泉式部の日記に登場するこの和歌は、次のように詠まれています。
「同じ枝に鳴きつつをりしほととぎす」
この和歌は、ほととぎすが同じ枝に止まりながら鳴く様子を描写しています。ここでの「をりし」という語が重要な役割を果たしています。
2. 「をりし」の品詞分解
「をりし」の品詞分解を行うと、次のようになります。
- をり – 動詞「おる」(いる)の過去形
- し – 連体助詞
「をり」は、動詞「おる」(存在する、いる)の過去形であり、ここでは過去にその状態があったことを示します。つまり、「をりし」とは「そのようにいた」という意味になります。
「し」は、連体助詞で、名詞や動詞に続けてその内容を修飾します。この場合、「をりしほととぎす」のように、過去にその場所に存在した「ほととぎす」を修飾しています。
3. 「をりし」の文法的な役割と解釈
「をりし」は過去に行った動作を示す表現であり、ここでは「ほととぎすが同じ枝に鳴きながら存在していた」という情景を描いています。過去にその状態があったことを表現するために、「をりし」という過去の動詞の活用が用いられています。
このような表現方法は、和歌の中で情景を繊細に伝えるために非常に効果的です。特に和歌では、過去の出来事を美しく表現するために、動詞の過去形が多く使われます。
4. 「をりし」の意味と和歌全体の解釈
この和歌全体を解釈すると、ほととぎすが過去に同じ枝で鳴きながら存在していたという過去の出来事を表現しています。和泉式部が描こうとした情景は、過去の記憶や感情を呼び起こすようなものです。
「をりし」という表現は、単に過去を示すだけでなく、その時の風景や感覚が今も心に残っていることを暗示しているとも考えられます。和歌を通して、過去と現在が交錯する美しい表現がなされています。
5. まとめ
和泉式部日記の和歌「同じ枝に鳴きつつをりしほととぎす」における「をりし」は、動詞「おる」の過去形であり、過去の出来事や状況を示す表現です。この語を使うことで、和歌は過去の情景を繊細に描写し、読者に深い感情を呼び起こします。


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