超音波検査と非破壊検査に関する問題の解説

工学

超音波検査は、工業や建設、設備の点検において重要な役割を果たします。特に、肉厚計や探傷器の使い方、ゲート設定、未探傷部の管理は技術者にとって基本的な知識です。この記事では、超音波検査に関する問題の解答とその背景を解説します。

超音波肉厚計の校正について

超音波肉厚計の校正は、正確な測定を行うために非常に重要です。問題で挙げられた選択肢に関して、それぞれの適切な説明を行います。

  • a)肉厚計を校正する場合、必ず本品の肉厚の最大、最小部で校正する。 — これは正しくありません。一般的に、特定の肉厚の最大最小部で校正するのではなく、通常、代表的なサンプルを用いて校正します。
  • b)音速が既知で、偏肉が小さい管で校正する場合は、音速を指定した1点校正とする方が良い — これも一般的に正しいですが、実際の測定条件に応じて異なる場合があります。
  • c)2点で校正した場合は、音速は自動で決まるので音速を確認する必要はない — これも誤りです。音速は常に確認する必要があり、校正後に確認しなければならない場合もあります。
  • d)肉厚10mm管の測定用に調整した肉厚計で、同一材質の肉厚20mmの管を測定する場合は校正をやりなおす必要は無い — この説明も不正確です。肉厚が大きく異なる場合、再度校正を行うべきです。

超音波厚さ計の測定原理

次に、超音波厚さ計が測定する対象についてです。超音波厚さ計は、材料の厚さを測定するために使用され、測定対象物に超音波を送信して反射を測定します。

  • a)超音波の周波数 — 間違いです。超音波の周波数自体は測定対象とは直接関係がありません。
  • b)超音波の強弱 — これも誤り。超音波の強弱ではなく、反射波の到達時間を測定します。
  • c)きずエコー高さ — 正しい。エコーの高さや反射波の強さが測定の一部になります。
  • d)材料の平行面間を往復する時間 — 正解です。これにより、測定物の厚さを計算できます。
  • e)超音波のパルス幅 — 間違いです。パルス幅は測定に直接関係しません。

超音波探傷器のゲート設定と活用

超音波探傷器では、エコーがゲート内に現れた際にそのエコーがどのように解釈されるかが重要です。次の記述の中から正しいものを選びましょう。

  • a)エコーがゲート内に現れると、エコー高さが50%以上になりエコーが見やすくなる — 正しいです。エコーがゲート内に入ると、探傷の精度が上がります。
  • b)エコーがゲート内に現れると、ランプやブザーできずが存在していることを表示する — 正しいです。探傷器では、このような通知機能が設けられています。
  • c)ゲート内は距離振幅補償が行われるので、エコー高さは50%になる — これは誤りです。距離振幅補償はエコーの高さに直接影響を与えるものではありません。
  • d)ゲート内にエコーが現れると、記録出力をとり出すことができる探傷器がある — 正しいです。

超音波探傷の使用と再現性の管理

探傷において重要な要素は再現性の管理です。最適な探傷方法を選ぶことで、効果的に探傷ができ、エラーを減らすことができます。

  • a)ステンレスについては、音速はほぼ変わらないため、対比試験片(RB)は本品と違う材質を使用しても良いが、炭素鋼・合金鋼のRBは使用してはならない — 正しいです。材質の違いにより、試験片が一致していないと精度が落ちます。
  • b)被検査材よりRBの方が厚肉の場合は探傷性能に影響がない為、使っても良い — 間違いです。材料の厚さが異なると、探傷性能に影響があります。
  • c)再現性が悪化する為、ノンリニアリジェクションは極力使用するべきではない — これも誤りです。ノンリニアリジェクションは再現性を向上させるために使用されます。
  • d)S/Nが良くなる為、ノンリニアリジェクションは使用したほうが良い — 正しいです。信号対雑音比(S/N)を改善するために有効です。

まとめ

超音波検査における基礎的な知識と機器の使い方を理解することは、精度の高い検査を行うために不可欠です。特に、肉厚計や探傷器の校正、ゲート設定、適切な試験片の選定などが重要な要素となります。これらの知識を基に、精密な検査を行うためのスキルを習得しましょう。

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