高校物理でよく出題される問題の1つに、斜面をすべり下りる物体の加速度を求める問題があります。この問題では、物体に働く力を適切に分解して、摩擦力を考慮した加速度を求める必要があります。ここでは、sinθやcosθを使わずに、加速度を求める方法について解説します。
1. 問題の理解と前提条件
問題では、傾きの角が30°の斜面上で物体がすべり下りるときの加速度を求めるというものです。必要な情報は以下の通りです。
- 斜面の角度:30°
- 重力加速度:9.8 m/s²
- 動摩擦係数:1/2√3
- 斜面にそって下向きを正とする
この情報をもとに、物体に働く力を考慮して加速度を求めます。
2. 物体に働く力の分解
物体が斜面上で動く場合、物体に働く力を2つに分解する必要があります。
- 重力の鉛直方向成分:mg sin(θ)
- 摩擦力:μ N(μは動摩擦係数、Nは法線方向の力)
ここで、法線方向の力Nは、物体の重力の鉛直成分に等しいため、N = mg cos(θ) です。
よって、摩擦力F_f = μ mg cos(θ) となります。
3. 加速度の計算
物体の加速度aは、運動方程式を使って求めます。
ΣF = ma
物体が下向きにすべる力は、重力の下向き成分mg sin(θ)と摩擦力F_fの差であり、加速度aに関係します。
mg sin(θ) – μ mg cos(θ) = ma
ここで、mgは両辺に共通するので、両辺をmgで割ります。
sin(θ) – μ cos(θ) = a / g
これを加速度aに解くと。
a = g (sin(θ) – μ cos(θ))
4. 実際の値を代入して計算
ここで、θ = 30°、g = 9.8 m/s²、μ = 1/2√3 を代入して計算します。
a = 9.8 × (sin(30°) – (1/2√3) cos(30°))
sin(30°) = 1/2, cos(30°) = √3/2 を代入すると。
a = 9.8 × (1/2 – (1/2√3) × √3/2)
a = 9.8 × (1/2 – 1/4) = 9.8 × 1/4 = 2.45 m/s²
5. 結論とまとめ
この計算により、物体が斜面をすべり下りる加速度は2.45 m/s²であることが分かりました。問題を解く際は、力を適切に分解し、運動方程式に代入して加速度を求めます。sinθやcosθを使わずに計算したい場合でも、適切な計算手順を踏めば問題なく解けます。重要なのは、物体に働くすべての力を正確に理解し、運動方程式に適用することです。
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