微分方程式系の平衡点と安定部分空間を求める方法を解説します。今回の問題は、以下の微分方程式系についてです。
dx/dt = 5x - 4y
dy/dt = 4x - 5y
1. 微分方程式系の平衡点を求める
平衡点とは、微分方程式系が静止している点で、すなわちdx/dt = 0, dy/dt = 0となる点を指します。
まず、与えられた微分方程式を使って平衡点を求めます。
5x - 4y = 0
4x - 5y = 0
この連立方程式を解くことで、平衡点(x, y)を求めます。
最初の式から、y = (5/4)xと置き、2番目の式に代入します。
4x - 5(5/4)x = 0
この式を解くと、x = 0となります。したがって、y = 0です。
したがって、平衡点は(x, y) = (0, 0)となります。
2. ヤコビ行列を求める
次に、安定性を調べるためにヤコビ行列を計算します。ヤコビ行列は、微分方程式系の変化を線形化するための行列です。
与えられた微分方程式系のヤコビ行列を計算します。
J = [[∂(dx/dt)/∂x, ∂(dx/dt)/∂y], [∂(dy/dt)/∂x, ∂(dy/dt)/∂y]]
これを計算すると、次のようになります。
∂(dx/dt)/∂x = 5, ∂(dx/dt)/∂y = -4
∂(dy/dt)/∂x = 4, ∂(dy/dt)/∂y = -5
J = [[5, -4], [4, -5]]
3. ヤコビ行列の固有値を求める
次に、ヤコビ行列の固有値を求めます。固有値を求めることで、平衡点の安定性を判断できます。
ヤコビ行列の固有値は、行列の固有方程式det(J – λI) = 0を解くことで求めます。ここで、Iは単位行列、λは固有値です。
det([[5-λ, -4], [4, -5-λ]]) = 0
この式を解くと、固有値λ = 1, -11が得られます。
固有値が正と負であるため、この平衡点は鞍点であり、不安定です。
4. 安定部分空間の求め方
安定部分空間は、固有値が負の方向に関する部分空間です。固有値λ = -11に対応する固有ベクトルを求めることで安定部分空間を得ることができます。
固有値λ = -11に対応する固有ベクトルを求めるために、次の連立方程式を解きます。
J - (-11)I = [[16, -4], [4, 6]]
この連立方程式を解くと、固有ベクトルが得られます。この固有ベクトルが安定部分空間を構成します。
5. まとめ
与えられた微分方程式系の平衡点は(0, 0)であり、この平衡点は不安定な鞍点です。安定部分空間は固有値が負の方向に対応する部分であり、固有ベクトルを求めることで具体的に求めることができます。
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