NaH2PO4とNa2HPO4からなる緩衝液は、そのpHの安定性が重要であり、強酸や強塩基を加えてもpHがほとんど変化しない特性を持っています。この特性は、緩衝作用がHPO₄²-とH₂PO₄-の間での酸塩基反応によって実現されています。しかし、なぜH+はH₂PO₄-と、OH−はHPO₄²-と反応するのか、またなぜそれらが反応しないのかに関して、以下のように解説します。
1. NaH2PO4とNa2HPO4の役割
NaH2PO4は弱酸であるH₂PO₄-を供給し、Na2HPO4はその塩基性形態であるHPO₄²-を供給します。この二つの塩は、pHの変動を抑制するために働きます。水溶液中でこれらの成分は、H+またはOH−を吸収・放出することで、pHを安定化させる役割を果たします。
2. HPO₄²-とH+の反応
強酸を加えると、H+が水溶液に供給され、HPO₄²-と反応してH₂PO₄-を生成します。この反応により、酸が加わってもpHの変動を抑えることができます。HPO₄²-は塩基性であり、酸を受け入れることができるため、この反応が起こります。
3. H₂PO₄-とOH−の反応
一方、強塩基が加わると、OH−が水溶液に供給され、H₂PO₄-と反応してHPO₄²-を生成します。この反応により、OH−が加わった場合でもpHの変動が最小限に抑えられます。H₂PO₄-は酸性であり、OH−を受け入れることができるため、この反応が起こります。
4. なぜH+はH₂PO₄-と、OH−はHPO₄²-と反応しないのか?
実際、H+が加わるとH₂PO₄-はその酸として反応しますが、H₂PO₄-が酸性を強くすることはなく、またOH−が加わるとHPO₄²-が塩基性として反応します。このように、両者が反応しない理由は、それぞれが持つ酸塩基の特性に基づいており、環境におけるpHを安定させる役割を担っています。pHが安定するため、H+とOH−が直接的に反応するわけではなく、緩衝作用によってその影響が抑制されます。
まとめ
NaH2PO4とNa2HPO4を使った緩衝液は、強酸や強塩基を加えてもpHが大きく変化しない特性を持っています。HPO₄²-とH₂PO₄-の酸塩基反応によって、pHを安定させることができます。H+やOH−が直接的に反応するのではなく、それぞれが緩衝液として働き、pHの変動を防ぐことが理解できました。
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