164kWの契約電力における過電流継電器の整定値設定は、電力システムの安定性を保つために非常に重要です。この記事では、過電流継電器の限時整定値と瞬時整定値をどのように計算するか、またその設定方法について解説します。さらに、CT(電流変成器)の比率が50/5である場合に適用される設定方法も紹介します。
過電流継電器の役割と整定値
過電流継電器は、電力設備における過負荷を検出し、必要に応じて電流を遮断する装置です。過電流継電器の整定値は、設備の安全運転を確保するために非常に重要で、限時整定値(時間遅れ)と瞬時整定値(即時動作)に分かれます。
これらの整定値を適切に設定することで、設備の過負荷やショートによるダメージを防ぎ、電力設備の長寿命化を図ることができます。
限時整定値と瞬時整定値の計算方法
過電流継電器の整定値設定には、負荷電流に対して何秒以内に動作させるかという限時整定値、また即時動作させるための瞬時整定値が重要です。ここでは、一般的な方法を紹介します。
限時整定値の計算
限時整定値は、過負荷が一定の時間を経過した後に動作するように設定されます。この整定値は、契約電力に基づいて設定されます。例えば、164kWの契約電力において、過電流継電器が1.2倍以上の電流を感知した場合、一定時間後に動作するように設定されます。
一般的な例として、以下の計算式を使用できます。
- 定格電流(In) = 164kW ÷ 400V ÷ √3 ≈ 237A
- 限時整定値 = 定格電流 × 1.2 = 237A × 1.2 = 284.4A
瞬時整定値の設定
瞬時整定値は、即時に動作する過電流の値を設定します。通常、瞬時整定値は定格電流の1.5倍から2倍の範囲で設定されます。
例えば、定格電流が237Aの場合、瞬時整定値は次のように設定されます。
- 瞬時整定値 = 定格電流 × 1.5 = 237A × 1.5 = 355.5A
CT(電流変成器)50/5の影響
CTの比率が50/5の場合、入力される電流値を5倍に変換することになります。このため、過電流継電器の整定値もこの比率に基づいて設定する必要があります。
例えば、過電流継電器の設定値がCTにより5倍に補正されることを考慮すると、前述の計算値(284.4Aや355.5A)を5で割った値を整定値として設定します。
まとめ:過電流継電器の整定値設定の重要性
過電流継電器の整定値設定は、電力設備を保護するために欠かせません。適切な限時整定値と瞬時整定値を設定することで、設備が過負荷やショートから守られ、安全に運用することができます。164kWの契約電力においては、定格電流を基に計算した後、CTの比率に応じた設定を行うことが必要です。これらの手順を守り、確実に設定を行うことが重要です。
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