「赤ちゃん時代の記憶がない」「最初に見た映像は何だったんだろう?」という疑問は、多くの人が抱くものです。実際、私たちの記憶の中で、1歳や2歳の頃の出来事を明確に覚えている人は少ないですが、なぜそのような記憶が残らないのか、また、赤ちゃんの頃に見たり感じたりしたものはどうなるのかについて考察してみましょう。
赤ちゃん時代の記憶はなぜ残らないのか?
私たちの脳は、記憶を形成するために重要な役割を果たす「海馬」という部位を持っていますが、この海馬が発達するのは2歳前後と言われています。赤ちゃんの時期は、神経系がまだ未発達であり、そのため記憶を保持する能力が十分に備わっていないのです。
また、赤ちゃんは視覚や聴覚、触覚などを使って外界を認識し、情報を処理していますが、その認識は非常に抽象的であり、具体的な「記憶」として残ることは少ないと言われています。記憶を保持するためには、出来事を意味づけたり、感情的な反応が必要だったりするため、赤ちゃんの時期にはそれが難しいのです。
3歳頃の記憶がうっすら残る理由
3歳くらいになると、脳の発達が進み、記憶力も向上します。この時期からは、視覚や感覚をもとにした記憶が残りやすくなるのです。記憶は「出来事」としてではなく、感情的な体験として残りやすいので、例えば家族と一緒に過ごした温かい瞬間や、楽しい遊びの記憶などが形成されやすくなります。
また、この頃から言語能力が発達し、出来事を言葉として記憶することができるようになります。言葉を使って自分の経験を表現できるようになるため、その時の記憶がより鮮明に感じられるのです。
赤ちゃん時代に見て、聞いて、感じていたこと
赤ちゃんは、感覚的な刺激に非常に敏感です。見たり、聞いたり、触ったりすることで、外界の情報を吸収しています。ですが、その感覚的な記憶は、後に自覚的な「記憶」としては残らないことが多いです。
例えば、赤ちゃんが初めて見たものや感じた音、匂いなどは、脳がその情報を一時的に保存しているだけで、それが後に「覚えている」という形にはなりません。これは、感覚的な情報処理と記憶の定着に関わる脳の構造が未成熟なためです。
最初の映像や記憶はなぜ思い出せないのか?
最初に見た映像や記憶が思い出せない理由は、脳が情報を長期的に保存するための準備が整う前に、その情報が「消えてしまう」ためです。記憶は、感情的な結びつきや繰り返しによって強化されますが、赤ちゃんの時期はそのような強い感情的な記憶の結びつきが少ないため、記憶として定着しにくいのです。
加えて、私たちの脳は「必要ない情報」を排除する仕組みを持っており、赤ちゃん時代に経験した情報の多くは、後に再生されることがないまま忘れ去られます。
まとめ:赤ちゃん時代の記憶の不思議
赤ちゃんの頃の記憶が残らないのは、脳が未発達であり、感覚的な情報が記憶として定着しにくいためです。3歳ごろになると、脳の発達と共に記憶力が向上し、感情的な体験としての記憶が形作られます。赤ちゃん時代の「見て、聞いて、感じた」経験は、記憶としては残りませんが、それらは確実に私たちの成長に影響を与えているのです。
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