クレーンに使用されるウインチドラムには、モーターの出力軸に異なる種類のブレーキが使用されることがあります。特に、40年以上前のクレーンで見られる、減速機側には電磁ブレーキ、反減速機側にはスラスタブレーキが搭載されている例があります。では、なぜ2種類のブレーキが使われているのでしょうか?この記事では、その理由と役割の違いについて詳しく解説します。
1. ウインチドラムの基本構造とブレーキの重要性
ウインチドラムはクレーンの重要な部分で、荷物の昇降や位置調整に使用されます。このドラムを動かすためにはモーターが必要で、電動モーターの出力軸には、過負荷時や不安定な動作を防ぐためにブレーキが取り付けられています。ブレーキは運転時の安全を確保するため、モーターの動作を適切に制御する役割を持っています。
2. 電磁ブレーキ(無励磁作動交流式)の役割
減速機側に取り付けられている電磁ブレーキは、モーターが動作している時に電力供給を断つことによって発生する慣性を制御するために使用されます。このブレーキは、無励磁作動交流式であり、電気的な接続を通じてブレーキを解除することで、モーターをスムーズに停止させることができます。電磁ブレーキは主に安定した減速と停止を確保するために使用されます。
3. スラスタブレーキ(無励磁作動交流式)の役割
一方、反減速機側に取り付けられたスラスタブレーキは、急激な逆回転を防ぐための役割を果たします。スラスタブレーキも無励磁作動交流式ですが、これは特に重い荷物の運搬時や不安定な状態で発生する可能性がある急な停止や逆回転を制御するために効果的です。これにより、モーターと機械が過度な負担を受けず、長期間の運転が可能になります。
4. なぜ2種類のブレーキが必要なのか?
減速機側と反減速機側に異なるブレーキを使う理由は、それぞれの側で必要とされる制御方法が異なるためです。減速機側ではモーターをスムーズに停止させるための安定した制御が求められ、反減速機側では逆回転を防ぐための強力なブレーキが求められます。それぞれのブレーキが最適な働きをすることで、ウインチドラムの運転がより安全かつ効率的に行えるのです。
5. まとめ
ウインチドラムのモーターに取り付けられた電磁ブレーキとスラスタブレーキは、両方とも重要な役割を果たしています。減速機側に使用される電磁ブレーキはモーターの動作を安定させ、反減速機側のスラスタブレーキは逆回転や急停止を防止します。これら2種類のブレーキを使うことによって、安全で効率的なウインチドラムの運転が可能となります。
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