反応の平衡とル・シャトリエの原理: 水素を加えた場合の平衡変化

化学反応の平衡に関する質問では、ル・シャトリエの原理が非常に重要な役割を果たします。今回の質問では、C2H4とH2の反応に関して、圧力一定の下で水素を加え、温度を上げると反応がどのように変化するかを考察します。この現象を理解するためには、平衡のシフトや反応のエネルギー変化を把握することが必要です。

1. 反応式とそのエネルギー変化

まず、反応式は以下の通りです。

C2H4 + H2 ⇄ C2H6 (ΔH = -137)

この反応はエネルギー的に放熱反応であり、ΔH（エンタルピー変化）が負であることから、反応が進む際に熱が放出されます。ル・シャトリエの原理によれば、反応が熱を放出する場合、温度を上げることで反応は逆方向に進む傾向があります。

2. 水素を加えた場合の影響

水素を加えると、反応は右にシフトし、エチレン（C2H4）と水素（H2）がエタン（C2H6）を生成する方向に進みます。これは、反応物である水素の濃度が増加することによって平衡が右に移動し、生成物の量が増えるためです。

従って、質問者が言う通り、水素を加えることで反応は右に移動します。これは、平衡が反応物から生成物に進行し、エタンが生成される方向へのシフトを意味します。

3. 温度を上げた場合の影響

反応が放熱反応であるため、温度を上げることは、ル・シャトリエの原理により、反応が逆方向に進むことを意味します。すなわち、温度が上がると、反応はエチレンと水素からエタンを生成するのではなく、逆にエタンをエチレンと水素に分解する方向に進みます。

つまり、温度を上げると反応は左にシフトし、エタンの生成が抑制されることになります。

4. 水素を加え、温度を上げるとどうなるか

質問にある通り、水素を加えると反応は右にシフトしますが、温度を上げると反応は左にシフトします。これらの効果が同時に起こる場合、最終的な平衡状態は、どちらの効果が強く作用するかによって決まります。具体的には、水素の加える量と温度上昇の程度に依存しますが、一般的には水素の加える効果が温度上昇の効果を上回り、反応は右に進むことが予想されます。

5. まとめ

C2H4 + H2 ⇄ C2H6 の反応において、水素を加えた場合は平衡が右にシフトし、温度を上げた場合は平衡が左にシフトします。これらの要因が同時に起こる場合、平衡の移動の結果は水素の加え方と温度上昇の程度に依存します。ル・シャトリエの原理に基づいて、反応条件を調整することで生成物の量をコントロールすることができます。