ヒトゲノムには約2万個の遺伝子が含まれていると言われていますが、この「遺伝子数」というのは何を基準に数えられているのでしょうか?ここでは、遺伝子数を数える基準と、その背後にある基本的な概念について詳しく解説します。
ヒトゲノムにおける遺伝子の定義とは?
ヒトゲノムの約2万個の遺伝子は、単純にDNAの塩基対の数を数えているわけではありません。遺伝子は、タンパク質やRNAを作る設計図として機能するDNAの領域を指します。そのため、遺伝子数は、特定のタンパク質や機能的なRNAをコードする領域の数として数えられます。
遺伝子は、RNAに転写された後、翻訳されてタンパク質を作り出す役割を持つため、遺伝子の数というのはそのままタンパク質を作る領域の数を意味することが多いです。
塩基対の数と遺伝子数の違い
塩基対の数は、DNA全体の長さを示しますが、遺伝子の数とは異なります。ヒトゲノム全体では約30億塩基対が含まれていますが、その中のすべてが遺伝子を形成しているわけではありません。
塩基対の中には、遺伝子として機能しない部分や、調節的な役割を持つ部分も多く存在します。これらの部分は「非コーディング領域」と呼ばれ、遺伝子数の計算には含まれません。
遺伝子の構造とその数え方
ヒトの遺伝子は、エクソン(実際にタンパク質をコードする部分)とイントロン(タンパク質には翻訳されない部分)から構成されています。遺伝子数は、通常エクソン部分を含む部分を基に数えます。
エクソンとイントロンの両方が含まれる領域を「遺伝子」としてカウントするため、厳密には遺伝子は単にタンパク質を作る領域だけでなく、その制御部分や調節因子を含んでいることが多いです。
RNAの役割と遺伝子数
遺伝子の中には、タンパク質ではなくRNAを作る領域もあります。これらは「非翻訳RNA」として、タンパク質ではなく、細胞内で別の役割を果たします。
例としては、rRNAやtRNA、そして調節機能を持つmiRNAなどがあり、これらのRNAも「遺伝子」として数えられることがあります。RNAがそのまま遺伝子としてカウントされることで、ヒトゲノムの遺伝子数が約2万個に達するのです。
まとめ
ヒトゲノムの遺伝子数は、単なる塩基対の数ではなく、実際にタンパク質を作る領域や、RNAとして機能する領域の数を指します。これにより、2万個という遺伝子数がカウントされるのです。また、遺伝子数にはエクソンや非翻訳RNAも含まれ、非常に複雑で多様な役割を持つ遺伝情報が私たちの体を作り上げています。
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