三次代数体の整数環がユニークファクタライゼーションドメイン(UFD)であるかつ、クラス数が1である場合について、いくつかの例を紹介しながら、その理由や特徴について解説します。
1. 三次代数体とは
三次代数体とは、代数体の中でも、次元が3の代数拡大体のことを指します。具体的には、有理数体Qを基にした拡大体で、x^3のような三次方程式の解を含む体です。三次代数体は数論や代数幾何学において重要な役割を果たします。
2. UFD(ユニークファクタライゼーションドメイン)とは
UFDとは、整数のように、任意の元が一意に素因数分解できる環のことです。つまり、整数環のように「素因数分解が一意である」性質を持った環を指します。例えば、整数環ZはUFDですが、任意の代数体の整数環がUFDであるとは限りません。
3. クラス数1の意味
クラス数1というのは、整数環の理論で使われる概念で、代数体の整数環がクラス群が1つだけであることを意味します。クラス群は、整数環の理論において、理論的に「異なる理想のクラス」を数えるための道具であり、クラス数1であれば、整数環の理想がすべて一意的に整列することを意味します。
4. 三次代数体の整数環がUFDでクラス数1の例
具体的な三次代数体としては、例えば、Q(∛2)(有理数体Qの立方根2を含む体)があります。この体の整数環はUFDであり、クラス数1であることが知られています。すなわち、Q(∛2)の整数環において、任意の元は素因数分解が一意であり、またその理想のクラス数は1であるため、すべての理想が主理想環になります。
5. まとめ
三次代数体の整数環がUFDであり、クラス数1となる例として、Q(∛2)が挙げられます。これにより、三次代数体の整数環においても、素因数分解が一意であり、クラス数が1の性質を持つものが存在することがわかります。三次代数体における整数環の性質や構造を理解することは、数論や代数幾何学において重要な基礎を築くことに繋がります。
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