ショットピーニングにおけるアークハイト測定と圧縮残留応力の関係

ショットピーニングの技術では、表面の強度を向上させるために圧縮残留応力を付与します。これに関連する疑問として、アークハイト測定で加工面側が凸側になる理由について解説します。特に、圧縮残留応力が付与されると凹側になるのでは？という疑問に答えます。

アークハイト測定とは？

アークハイト測定は、ショットピーニング後に表面の変形具合を測定する手法です。ショットピーニングにおいては、金属表面に微細な衝撃を与えることで圧縮残留応力が発生します。この応力が金属の耐疲労性や強度を向上させます。

圧縮残留応力は、物体内に圧縮的な力が働いている状態です。金属表面にこの応力を付与することで、外部からの引っ張り応力を防ぎ、耐久性が向上します。理論的には、圧縮応力が表面に加わるため、表面が凹むことが予想されます。しかし、実際の測定結果は異なる場合があります。

ショットピーニングの結果として、加工面が凸側になる理由は、金属表面にショットが衝突し、表面がわずかに膨らむためです。これは、表面に対してショットが衝突することで発生する圧縮応力が、微細な変形を引き起こし、結果として加工面が凸側に変形する現象です。

ショットピーニングでは、表面に圧縮残留応力が発生し、表面が圧縮されますが、衝撃による微細な塑性変形が発生し、その結果として表面がわずかに膨らむことになります。この膨らみは、凸側に現れるため、アークハイト測定においても凸側が観測されるわけです。

ショットピーニング後にアークハイト測定で加工面が凸側になる理由は、ショットによる衝撃で金属表面が微細に膨らむことが原因です。圧縮残留応力は確かに表面に加わりますが、それが直接的に凹側になるわけではなく、表面の微細な変形が凸側を引き起こすのです。