「欲しい物を手に入れる」ということは、誰にとっても嬉しいことのはずですが、意外にもその後に「使いづらい」という感情が湧いてくることがあります。特に長年探し続けていたものや、思い入れのある物の場合、このような感情が生まれることがあります。今回は、娘夫婦が探し続けたベビー布団の柄に関して、手に入れた後に感じる「使いづらい」という心理的背景について考えてみましょう。
コレクションと実用品の違い
コレクションというのは、物理的な価値よりも、その物に対する思い入れや、他の物と並べることによって得られる満足感が重要です。そのため、コレクションとしての物は、使うよりも見ることで楽しむことが多く、使用感や実用性よりも、所有すること自体に価値が見いだされます。
一方、実用品としての物は、日常的に使うことがその価値となります。使用することで得られる快適さや便利さが重要であり、使い勝手が悪いと感じることがあると、実際にはその物を避けてしまうことになります。
「手に入れること」と「使うこと」のギャップ
長年探し続けていたものを手に入れること自体に大きな意味がありますが、その物を手に入れた瞬間、実際に使うということに対する期待やプレッシャーも生じます。特に「使いたい」という気持ちと「コレクションとして残したい」という気持ちが交錯すると、使いづらいという印象を持つことが多いです。
「使いづらい」と感じる原因には、物に対して抱く感情的な価値が大きく影響しています。物を使うことによって、その価値が消費されてしまうという恐れや、物の状態が悪くなることに対する不安があるためです。
心理的な「完璧主義」と所有欲
この「使いづらい」という感覚は、心理学的には「完璧主義」に関連しています。完璧を求める人は、物が「完璧な状態」であることを好み、使うことでその状態が変化することに不安を感じます。この不安が、「使いたいけれども、使いたくない」という矛盾した感情を生むことがあります。
また、所有欲が強い場合、その物を使うことに対して価値を失うことを恐れ、コレクションとしての意味を重視してしまいます。物を使うことによって、その完璧さや価値が損なわれるのではないかと感じ、「使いづらい」と思ってしまうのです。
物の価値が変わる瞬間
物の価値は、所有することで「満たされるもの」と「使うことで満たされるもの」に分けることができます。物を手に入れることによって、その価値が増す場合もあれば、逆に使うことによって価値が減ると感じる場合もあります。この心理的な変化は、コレクションの価値や実用品としての使用感とのギャップが生じた時に特に強く感じられます。
このような感情は、物の価値観が変わる瞬間に強く現れるため、手に入れた瞬間に「コレクション用として取っておく」という決断が下されることが多いのです。
まとめ:物と向き合う心理的アプローチ
物を手に入れることと、その後の使用感や価値の感覚には、心理的なギャップが存在します。長年探し続けた物が手に入った後、それを使うことによる「使いづらい」という感情は、物の価値が所有と使用によって変化することに起因します。このような感情を理解し、物との向き合い方を柔軟に考えることが大切です。
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