錯体化学:最外殻電子数と18電子則の解説

化学

錯体化学における最外殻電子数と18電子則の概念は、錯体の安定性や反応性を理解するために重要です。ここでは、具体的な例を用いて最外殻電子数の求め方と、18電子則が満たされるかどうかの確認方法を解説します。

1. 最外殻電子数とは?

最外殻電子数は、中心金属原子に結びついている配位子やその化学結合によって得られる電子数の合計です。この電子数を求めることで、錯体の安定性や化学的性質を予測することができます。

1-1. 最外殻電子数の計算方法

最外殻電子数は、中心金属原子の価電子数と、配位子が提供する電子対を足し合わせることで求めます。例えば、配位子がCN⁻のように1対の電子を提供する場合、その電子数を加算します。

1-2. 具体的な例:Fe(CN)₆⁴⁻の場合

Fe(CN)₆⁴⁻の場合、Feは3d⁶4s²の電子配置を持ち、価電子数は8です。CN⁻は1つの配位子として2つの電子を提供するので、6個のCN⁻で12個の電子が提供され、最外殻電子数は8 + 12 = 18になります。

2. 18電子則とは?

18電子則とは、中心金属原子が18個の電子を持つことで、安定した錯体を形成するという規則です。これは、中心金属原子が最外殻のs軌道、p軌道、d軌道をすべて充填し、より安定した構造を取ることができるという考え方です。

2-1. 18電子則の満たし方

18電子則を満たすためには、中心金属原子が提供する電子と、配位子が提供する電子を合計して18になるようにします。例えば、6個のCN⁻はそれぞれ2電子を提供し、合計で12個の電子を提供します。これに中心金属原子が提供する8個の電子を加えて18電子となり、18電子則が満たされます。

2-2. 具体的な例:Pt(NH₃)₂Cl₂の場合

Pd(NH₃)₂Cl₂の場合、Ptはd⁸の配置を持ち、価電子数は8です。NH₃とCl⁻はそれぞれ2電子を提供する配位子です。したがって、NH₃₂とCl₂で合計8個の電子が提供され、最外殻電子数は8 + 8 = 16となります。これは18電子則を満たしていないため、この錯体は18電子則に従った安定した構造を取らないことがわかります。

3. まとめ

錯体における最外殻電子数と18電子則は、錯体の安定性を評価する上で重要な概念です。最外殻電子数を求めることで錯体が安定しているかを予測し、18電子則を満たすかどうかでその反応性や構造を理解することができます。

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