NCフライスを使用してS45C鋼材に幅6ミリ、深さ10ミリの溝を切る際には、適切な切削条件と切り込み量を設定することが非常に重要です。使用するエンドミルの種類(2枚刃または4枚刃)によって、切削条件や切り込み量が異なります。本記事では、超硬エンドミルを用いたS45C鋼材の溝切りにおける推奨切削条件と切り込み量について解説します。
S45C鋼材の特性と切削における注意点
S45Cは中炭素鋼で、機械的な強度が高く、加工性も比較的良好ですが、硬度が高いため切削時に注意が必要です。特に溝切りのような精密な作業では、工具の摩耗や熱の発生に注意しながら作業を行う必要があります。
また、S45C鋼材は切削中に発生する切削熱により工具の寿命が短くなる可能性があるため、適切な切削条件を設定し、冷却を十分に行うことが大切です。
切削条件の設定:2枚刃と4枚刃エンドミルの違い
2枚刃と4枚刃のエンドミルは、切削性能に大きな違いがあります。2枚刃のエンドミルは切削力が大きく、切削速度が遅い場合でも強力に切削できますが、切り込み量は少なめに設定することが一般的です。
一方、4枚刃のエンドミルは切削面積が広く、切削速度を速くすることが可能ですが、2枚刃よりも切削力が分散されるため、やや負荷が分散します。そのため、4枚刃エンドミルを使用する場合、切削速度を速く設定することが可能ですが、切り込み量は適切に調整する必要があります。
適切な切り込み量と切削条件
S45C鋼材における溝切りの場合、通常の切削条件として以下を参考に設定します。使用するエンドミルが2枚刃か4枚刃かによって異なりますが、共通の基本的な指針を以下に示します。
- 切削速度:50〜100 m/min(2枚刃)、100〜150 m/min(4枚刃)
- 送り速度:0.05〜0.2 mm/rev(2枚刃)、0.1〜0.3 mm/rev(4枚刃)
- 切り込み量:0.2〜0.5 mm(1回の切り込み)
- 冷却:切削油またはミストを使用して冷却効果を高める
特に、溝の深さや幅が規定されている場合、切り込み量を調整して熱の発生を抑え、工具の摩耗を防ぐことが大切です。
まとめ
S45C鋼材に幅6ミリ、深さ10ミリの溝を切る際の適切な切削条件と切り込み量は、使用するエンドミルの種類に応じて設定します。2枚刃エンドミルでは切削速度をやや低く、切り込み量を少なく設定し、4枚刃エンドミルでは高い切削速度と適切な切り込み量を選ぶと良いでしょう。これらの条件を調整することで、NCフライスでの作業が効率的かつ精密に進みます。
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