この質問は、高校の無機化学における金属イオンの挙動に関連しています。特に、Fe3+(鉄イオン)とAl3+(アルミニウムイオン)を水酸化ナトリウムやアンモニア水で処理した際の挙動に関するものです。鉄イオンとアルミニウムイオンはどちらも水酸化物を形成しますが、アンモニア水での挙動が異なる理由について詳しく解説します。
1. Fe3+とAl3+の沈殿反応
Fe3+(鉄イオン)とAl3+(アルミニウムイオン)に水酸化ナトリウム水溶液を加えると、それぞれ鉄(III)水酸化物とアルミニウム水酸化物が生成されます。通常、鉄イオンは水酸化物として沈殿し、アルミニウムイオンは水酸化アルミニウムとして沈殿します。しかし、アルミニウムの場合、過剰な水酸化ナトリウムが加わると、テトラヒドロキシアルミン酸イオンが生成され、これが水に溶解するため、アルミニウムは溶解します。
2. アンモニア水の影響とアルミニウムの挙動
アンモニア水を加えると、アルミニウムイオンは水酸化アルミニウムを形成しますが、アルミニウム水酸化物がアルカリ性の条件で溶解し、[Al(OH)4]-(テトラヒドロキシアルミン酸イオン)が生成されます。これはアンモニア水のアルカリ性が強いためで、アルミニウム水酸化物が溶解してしまいます。
3. なぜ鉄イオンはアンモニア水で溶解しないのか?
鉄イオン(Fe3+)の場合、アンモニア水を加えても鉄(III)水酸化物が沈殿するだけで、アルミニウムのように溶解することはありません。鉄(III)水酸化物は、過剰の水酸化ナトリウムを加えても溶解しません。鉄イオンの水酸化物は、アルミニウムイオンの水酸化物に比べて溶解性が低いためです。
4. 結論:水酸化ナトリウムとアンモニア水での挙動の違い
鉄イオンとアルミニウムイオンの違いは、水酸化ナトリウムとアンモニア水に対する反応性にあります。鉄イオンは水酸化物として沈殿しやすく、過剰の水酸化ナトリウムでも溶解しません。一方、アルミニウムイオンは、アンモニア水のアルカリ性の影響で水酸化物が溶解し、テトラヒドロキシアルミン酸イオンが生成されます。これにより、アルミニウムイオンは溶解し、鉄イオンとは異なる挙動を示します。
5. まとめ
鉄イオンとアルミニウムイオンは、同じ水酸化物を形成するものの、その溶解性には大きな違いがあります。アンモニア水を使う場合、アルミニウムイオンが水酸化物として溶解しやすいのに対し、鉄イオンはそのまま沈殿します。これらの違いを理解することで、金属イオンの挙動に関する理解が深まります。
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