電気設備工事の中でも、屋内変圧器の撤去は安全性や作業効率に直結する重要な工程です。しかし、実際に見積もりや積算を行う際、「どの歩掛(ぶがかり)を使えば良いのか分からない」と戸惑う方も少なくありません。この記事では、国土交通省の積算基準を踏まえつつ、屋内変圧器撤去工事における電工歩掛の基本的な考え方と算出方法について解説します。
歩掛(ぶがかり)とは何か
歩掛とは、ある工種の標準的な作業を行うために必要な労務量や機械稼働量を示した指標のことです。積算においては、工事費の基礎単価を導き出すために用いられます。電気設備工事では、電工(電気工事士)の作業歩掛が示されており、撤去や新設など工種ごとに分類されています。
例えば、照明器具や分電盤の撤去にはそれぞれに応じた歩掛があり、変圧器の撤去も同様に定められています。
屋内変圧器撤去に関する基準の探し方
国土交通省が公開している「電気通信設備工事積算基準」や「電気設備工事積算基準」の中に、機器の撤去に関する項目があります。屋内変圧器は重量物に分類されるため、「機器撤去工」や「重量機器搬出入工」の章が該当するケースが多いです。
特に、変圧器は容量によって重量が大きく異なるため、容量区分ごとに歩掛が設定されている場合もあります。そのため、対象となる変圧器の定格容量・重量を確認してから該当箇所を参照することが重要です。
算出の流れ
- 撤去対象の変圧器の容量や重量を確認
- 積算基準書の「機器撤去工」や「重量物搬出入工」を参照
- 労務歩掛(電工人数×時間)と機械歩掛(揚重機等)を確認
- 現場条件(搬出経路や階層、天井高さなど)に応じて補正
例えば、屋外に直結した搬出口があれば作業効率は良くなりますが、地下機械室からの撤去であれば揚重機や台車が必要になり歩掛が増えることもあります。
具体例
例えば、200kVA級の油入変圧器(重量数百kgクラス)を撤去する場合、国交省基準では電工2~3人で半日程度の作業歩掛が標準となるケースがあります。さらに、搬出経路が狭い場合や、解体・切断が必要な場合は割増しで算定されます。
一方、小型のキュービクル用変圧器であれば、搬出も比較的容易で歩掛は小さくなります。このように、容量と現場条件の組み合わせが歩掛の算出に直結するのです。
まとめ
屋内変圧器の撤去における歩掛は、国土交通省の積算基準に基づき「機器撤去工」「重量物搬出入工」から該当項目を探すのが基本です。対象機器の容量・重量と現場条件を踏まえて補正を行うことで、より実態に近い工数が算出できます。積算作業では、基準を参照しつつ現場経験を加味することが正確な見積もりにつながります。
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