正六角形を使ったベクトルの問題は、図形の対称性を利用して簡潔に表せるのが特徴です。特に重心を求める問題では、各頂点の位置ベクトルを整理していくと理解しやすくなります。この記事では「正六角形OPQRSTで、△PRTの重心Gをp→、q→で表せ」という問題を例に、解法の流れを分かりやすく解説します。
正六角形の性質を確認
正六角形OPQRSTを原点Oから描くと、Oを中心に等間隔で頂点が並びます。与えられた条件では、
OP→=p→、OQ→=q→ です。つまり、p→とq→は正六角形の隣接辺を表す基準ベクトルになります。
ここで各頂点の位置ベクトルは次のように表せます。
- P = p→
- Q = q→
- R = q→ – p→
- S = -p→
- T = -q→
- U = p→ – q→
△PRTの重心を考える
重心Gは3つの頂点の位置ベクトルを平均したもので表せます。
G = (P + R + T)/3
先ほど求めた座標を代入すると、
G = (p→ + (q→ – p→) + (-q→)) / 3
= (p→ – p→ + q→ – q→) / 3
= 0
重心が原点になる理由
この結果、△PRTの重心Gは原点Oそのものになります。つまり、G = 0ベクトルです。正六角形の対称性により、△PRTがちょうどOを含む位置に配置されるためです。
一見「(RP→ + RQ→ + RT→)/3」という形で考えたくなりますが、各ベクトルの基準点を混同すると誤解が生じます。必ず「頂点の位置ベクトルをOからのベクトルで表す」ことを意識するのがポイントです。
実際の計算の注意点
この問題の肝は、各頂点をp→とq→の線形結合で正しく表すことです。特にRやTの座標を間違えると全体がずれてしまいます。
例えば、Tを -q→ と表せる理由は、Qがq→なので正六角形の対称性からOを挟んで反対側の頂点が -q→ になるためです。
まとめ
正六角形を用いたベクトル問題では、頂点を基準ベクトルの組み合わせで整理することが最重要です。今回の問題では、△PRTの重心が偶然にも原点と一致する結果になりました。これは正六角形特有の対称性によるもので、図形の性質とベクトル計算が美しく結びつく例といえるでしょう。
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